研究課題
尿酸は、ヒトにおけるプリン代謝最終産物であるが、その生理的機能や腎内輸送機構、さらに痛風などの生活習慣病の病態との詳細な関連、並びに治療薬の開発における分子標的など多くが不明であった。そこで本研究は、本研究代表者らが同定した血液中の尿酸値を制御する腎に存在する新しい尿酸トランスポーター(URAT1)を用いて、ゲノム戦略に基づく高尿酸血症治療薬の創製の基盤形成を目的として行った。14年度に樹立したURAT1安定発現細胞を用いて、ベンズブロマロン、ピラジンカルボン酸、ロサルタン、インドメサシン、フロセミドなどの抑制効果が示され、それぞれの尿酸輸送に対するKi値を確定した。さらに乳酸、ピラジンカルボン酸、ニコチン酸、クロライドアニオン(Cl^-)を交換基質として尿酸輸送は亢進したことからURAT1はこれらの有機及び無機アニオンを交換基質とする交換輸送体であることが明らかになった。ピラジナマイドは高尿酸血症を惹起するが、これはその代謝産物であるピラジンカルボン酸が、尿細管上皮細胞の内側から交換基質として尿酸の取込みを促進するためであると考えられる。URAT1の調節機構を明らかにする目的で、URAT1がC-末端にPDZ結合モチーフを有することに着目して、ここに結合するタンパク質を酵母ツーハイブリッド法でスクリーニングし、PDZタンパク質PDZK1を同定した。PDZK1の4つのPDZドメインのうちPDZ1、PDZ2、PDZ4がURAT1との結合親和性を示した。URAT1はPDZK1と、腎近位管腔側膜に共存し、両者は結合して存在することが免疫沈降法によって明らかになった。HEK293細胞に両者を共発現させることによりURAT1の細胞膜上での存在量が上昇し、尿酸輸送活性が上昇することが明らかになった。従って、PDZK1とURAT1の相互作用は、血中尿酸値の反映すると考えられ、高尿酸血症の新たな治療標的となる可能性がある。
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