• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

幹細胞システムの分子基盤とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 14207006
研究機関大阪大学

研究代表者

仲野 徹  大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00172370)

研究分担者 岡部 勝  大阪大学, 遺伝情報実験センター, 教授 (30089875)
木村 透  大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (50280962)
キーワード幹細胞 / 細胞分化 / 造血システム / 生殖細胞 / 転写調節
研究概要

造血システムと生殖システムという二つの幹細胞システムを用いて、幹細胞の維持ならびに幹細胞からの文化についての研究をおこなった。
マウスES細胞から血液細胞への分化誘導過程において、コンディショナルに遺伝子を発現させるシステムの構築をおこなった。この方法を用いて、造血前駆細胞の段階において、未分化な造血細胞において発現するZinc finger型の転写因子であるGATA-2を発現させた。その結果、造血前駆細胞の数が増加すること、また、赤血球、巨核球への分化・増殖が促進されることが明らかとなった。この結果は、従来GATA-2の機能として報告されていた内容と異なるばかりでなく、ほとんど逆の内容であった。この差異は、従来の研究がGATA-2そのものではなく、GATA-2とエストロゲン受容体との融合タンパクを用いていたために生じたものであることを明らかにした。また、GATA-2を発現させることにより、マクロファージへの分化は顕著に障害され、巨核球や赤血球系の細胞へと分化転換することも明らかにした。
がん抑制遺伝子PTENの始原生殖細胞分化における機能解析を、生殖細胞特異的PTENノックアウトマウス(ΔPTENマウス)を用いておこなった。その結果、オスのΔPTENマウスでは全例において精巣にテラトーマが出現することを見出した。また、培養実験により、一旦生殖系列へと運命付けられた生殖細胞が脱分化して胚性生殖細胞になる率が、ΔPTENマウスでは著明に亢進していることが明らかとなった。これらの結果は、PTENあるいはPI3キナーゼのシグナルが幹細胞の未分化性維持に重要な機能を持っていることを示している。
これらの成果を元に、幹細胞の維持および幹細胞からの分化メカニズムを明らかに、幹細胞の人為的操作法の確立をめざして研究をおこなっている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Tanigaki T, (5), Nakano T, Honjo T.: "Notch/RBPJ signaling is involved in cell fate determination of Marginal Zone B cells"Nature Immunol. 3. 443-450 (2002)

  • [文献書誌] Kitajima K, (2), Nakano T.: "GATA-2 and GATA-2/ER display opposing activities in the development and differentiation of blood progenitors"EMBO J. 21. 3060-3069 (2002)

  • [文献書誌] Kitamura T, (12), Nakano T.: "Mouse Germ Cell-Less as an essential component for nuclear integrity"Mol Cell Biol. 23. 1304-1315 (2003)

  • [文献書誌] Suzuki A, (7), Nakano T.: "Critical roles of Pten in B cell homeostasis and immunoglobulin class switch recombination"J Exp Med. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Kimura T, (8), Nakano T.: "Conditional loss of PTEN leads to testicular teratoma and enhances embryonic germ cell production"Development. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Suzuki A, (9), Nakano T.: "Keratinocyte-specific Pten deficiency results in epidermal hyperplasia, accelerated hair follicle morphogenesis and tumor formation"Cancer Res. (in press). (2003)

  • [文献書誌] 仲野 徹: "幹細胞とクローン"羊土社. 116 (2002)

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi