研究概要 |
2002年4月に全国の自治体労働者を組織する労働組合に対し、地方自治体が運営する清掃工場およびごみ収集業務に従事する労働者を対象とした疫学調査への協力を依頼した。その後数度にわたる協議を行い、10月に第一次調査として10都道府県において約13,200名の現職および240名の退職者に対して自記式調査票を配布した。調査内容は将来にわたる追跡に必要な項目(氏名および住所)、喫煙習慣、児の性別および生年月、清掃職場以外での職歴、清掃職場における詳細な作業歴および飛灰への曝露状況である。 2003年3月末までに、各地で合計6回の説明会を行い、約5,700名から調査票を回収した(回収率約60%、回収作業が終わっていない単組を除く)。このうち約1,300名が焼却炉内および排煙設備における整備・清掃作業を経験しており、飛灰への曝露が確実と考えられた。さらにこのうち約半数については、一ヶ月あたり複数回整備・清掃作業を経験しており、飛灰への曝露が大きいグループとして分類するのが妥当であると考えられた。残りの約4,400名はコントロールとなるごみ収集作業に従事する者であった。 本研究ではごみ焼却作業における飛灰曝露(有害物質としてはダイオキシン類)に伴う、発がんリスクおよび生殖障害としての児の性比の評価を行うことを目的とした。特に発がんリスクについては、対象者の年齢を考慮すると退職者を把握することが望ましいが、これまでのところ十分な数の退職者を把握することはできていない。このため、対象集団の追跡期間が予定よりも長くなる可能性が生じている。今後さらに広範な対象者に対して呼びかけを行い、より大規模な集団を構成できるよう計画中である。なお、児の性比については、2003年度中に第一次調査分について解析を修了する見込みである。
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