研究概要 |
埼玉県伊奈町の小学4年生のうち同意が得られた児童を対象に肥満および関連したマーカーについて検討した。 平成14年度は、小学校4年生315名を対象とした。身長、体重、ウエストヒップ比、体脂肪率、皮下脂肪厚の測定(超音波検査による)ならびに、血液中の総コレステロール、中性脂肪、血糖、グリコヘモグロビン(HbA1c)、インスリン、アディポネクチン、レプチン、およびTNF-αを測定した。平成15年度は353名を対象とし、高感度CRP測定を追加した。平成16年度は385名を対象に、腹囲測定を追加した。 本研究では肥満を性・年齢別標準体重120%以上と定義した。肥満の有病率は、平成14年度は14.9%、平成15年度は12.7%、平成16年度は11.9%であった。平成16年度参加者の腹囲の性別95パーセンタイル上限値は、男児:77.3cm、女児:70.7cmであった。 平成14年度、15年度の参加者において、アディポネクチン(μg/ml)の中央値(25-75%値)を肥満の有無別に比較すると、非肥満児:9.6(7.3-12.0)、肥満児:8.3(5.6-9.9)と、肥満児で有意に低かった(p<0.0001)。同様にレプチン(ng/dl)を比較したところ、非肥満児:3.7(2.4-5.5)、肥満児:12.5(8.6-16.4)と肥満児の値が有意に高い値を示した(p<0.0001)。また、血糖関連指標である、HbA1c(%)、随時血糖(mg/dl)、随時インスリン(mg/dl)はいずれも肥満児において、非肥満児より有意に高値を示した。(HbA1c;4.7:4.5-4.8 vs. 4.7:4.6-4.9,p<0.0001),(随時血糖;92:87-96 vs. 90:85-94,p=0.0013),(インスリン;13:9-20 vs. 8:5-11,p<0.0001)。小児肥満において、成人肥満と同様に血糖関連指標はすべて上昇し、アディポサイトカインも成人と同様の傾向を示した。
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