研究概要 |
1.先に我々が発見した,Y染色体特異STR多型マーカー,DYS441,DYS442,DYS443,DYS444,DYS445の5種類のマイクロサテライトマーカーを,同時にPCR増幅し,型判定できる系を改良して報告した。今回のmultiplex-PCR法は,法医学・法科学的な陳旧資料や混合資料の型判定に十分適用可能であることを,各種の陳旧精液斑,血痕,唾液斑などの資料で5年から10年以上経過したものや,男女の混合資料,複数男性の混合資料,実務事例の資料などでも検討し,良好な結果が得られた。 2.マウスをモデル動物として,臓器別の年齢依存的に変化するミトコンドリアDNA量を定量的に解析する方法を確立した。マウスのミトコンドリアDNA量は,一定年齢の各臓器間で大きな相違があり,骨髄,脾および肺などで少なく,心および骨格筋で多かった。また,異なった年齢間では心,肺,腎,脾および骨格筋で年齢依存的な増加が認められた。これらの臓器では,加齢に伴ってミトコンドリアDNA量ばかりでなく,ミトコンドリアDNAの転写産物およびミトコンドリアDNA上にコードされたタンパク質の発現量のいずにおいても増加する傾向を示すことが明らかになり,加齢に伴うミトコンドリア機能の低下を補う保証機構の存在を支持するものとして報告した。 3.マウス腎で年齢依存性の量的発現変化を示す遺伝子の解析をおこない,ペルオキシゾーム膜に局在する蛋白M-LPLの他に,細胞質に局在することを証明することができたM-LPsが存在し,抗酸化酵素の発現を制御している可能性があることを報告した。
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