研究概要 |
1.DNA多型マーカーの開発と応用に関する研究 我々が同定したDXS10011について,染色体検査数を869にふやして集団遺伝学的検索を実施し,その中で見つかった3種の新規な変異型について,詳細を報告した。 我々が発見したY染色体上の短鎖縦列繰り返し配列(STR)多型マーカー:Yfm1が,Y染色体長腕のセントロメア近傍に局在する多型性のあるマルチコピーマーカーであることを明らかにした。 STR5種(DYS441,DYS442,DYS442,DYS442,DYS442)を新たに発見,同定し,これらを短時間で同時に検出するための高精度および高感度なMultiplex PCR法を確立・改良した。更に,血痕や精液斑を含む陳旧試料や混合試料などの,法医学的資料からの型判定に適用可能であり,日本人,白人種,アフリカ系アメリカ人および漢民族の4グループについての遺伝子頻度分布の比較から,人種・民族の判別にも有用であることを明らかにした。 2.法医学的年齢推定法の開発に関する研究 近交系マウスの年齢依存的な遺伝子発現の検索から,マウス腎及び脾で年齢依存性発現多型を示す機能未知の遺伝子を発見し,この遺伝子がコードするタンパク質をM-LP(Mpv17-like protein)と命名した。M-LP遺伝子をCOS-7細胞内に導入して発現させたところ,各種抗酸化酵素の活性及び酵素遺伝子発現量などに関与している可能性が示唆された。 ミトコンドリアDNA(mtDNA)量の臓器別定量法を開発し,ミトコンドリアDNA(mtDNA)量の臓器別年齢依存性変化を調べたところ,マウスの臓器別mtDNA量は骨髄,脾,肺で低く,心や骨格筋などで高かった。心,肺,腎,脾および骨格筋で,加齢に伴ってmtDNA量,mtDNAの転写産物およびmtDNA上にコードされたタンパク質の発現量のいずれもが増加傾向を示した。
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