研究課題/領域番号 |
14207027
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
貫和 敏博 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40129036)
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研究分担者 |
西條 康夫 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10270828)
海老名 雅仁 東北大学, 病院・講師 (10280885)
菊地 利明 東北大学, 病院・助手 (10280926)
鈴木 拓児 東北大学, 病院・助手 (80344670)
前門戸 任 東北大学, 病院・助手 (40344676)
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キーワード | HGF / SLPI / 骨髄由来細胞 / 組織修復 / 組織再生 / 生体防御 / ノックアウトマウス / 肺発癌 |
研究概要 |
近年増加が注目される呼吸器炎症性疾患や肺腫瘍は、進化的に獲得された本来の感染防御・再生機構が加齢により逸脱し、病態形成や難治性を帰結すると考えられる。本研究は従来我々が検討している肝細胞増殖因子(HGF)と分泌型白血球蛋白分解酵素阻害物質(SLPI)を取り上げ、その多様な関与を解析する。本年度は最終年として以下のように研究を完了した。 (1)SLPIの蛋白分解酵素阻害作用と非阻害作用:ノックアウトマウスによる表現型解析 先にSLPIノックアウトコンストラクトを用いSLPI-/-を樹立した。SLPI-/-表現型として、LPS(serotype 0127:B8、1mg/mouse)の腹腔注入により生存率が低下し(p<0.01)、SLPI-/- macrophageより産生されるIL-6増加、1κB-β発現抑制と相対的NFκBのDNA結合増強を報告した(非阻害作用)。これに対しウレタン誘発(1mg/g body wt)肺腺癌形成で、腫瘍形成初期炎症反応のSLPI関連性を検討したところSLPI-/-では有意に肺発癌が抑制された。これはEGF受容体系のシグナルも関与し、腫瘍組織SLPI高発現の生理的重要性を示唆し、未知のSLPI結合蛋白同定の必要性が明らかになった。 (2)肺の炎症修復因子HGFはブレオマイシン肺傷害で骨髄由来細胞の動員を抑制する C57BL/6(雌、10-12週令)に6-10Gy放射線照射後、GFPマウス由来骨髄細胞(10^6 cells/mouse)を静注し、4-6週後bleomycin肺傷害惹起の系でHGFの関与を検討した。興味あることに他の系ではHGFによる骨髄細胞動員亢進の報告が多い中、bleomycin肺傷害ではHGFによりその動員は抑制された。本結果は経血管性肺特異性plasmidによるHGF発現として併せ報告したが、最近骨髄由来fibrocyteによる肺線維化促進の知見に対し、その抑制はHGFの新たな作用である可能性を示唆する。
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