研究概要 |
これまでの研究で,眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症(early-onset ataxia with ocular motor apraxia and hypoalbuminemia, EAOH)の病因遺伝子を同定してアプラタキシン(aprataxin)遺伝子と命名した.本研究は,アプラタキシンの生理的機能を明らかにし,EAOHの病態機序を解明し,治療法開発のための基盤を作ることを目的とする. アプラタキシンの生理的機能を明らかにするために,まず,alternative splicingによって生成される2種類のアプラタキシンmRNA(short formおよびlong form)について,剖検組織の解析および培養細胞における一過性発現の解析でlong form aprataxinが主要なisoformであること,核内に存在するタンパクであることを証明した.さらに,その核内局在にはN末端近くの核移行シグナルが重要であることを証明した.yeast two hybridを用いた実験系により,long form aprataxinが,XRCC1(X-ray repair cross-complementing group 1)と結合することを発見し,single strand DNA breakの修復に関わる可能性を見出した.aprataxin遺伝子のノックアウトマウスについては,作成が完了し,現在個体数を増やして解析の準備を進めている.
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