研究課題/領域番号 |
14207032
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高橋 良輔 独立行政法人理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, チームリーダー (90216771)
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研究分担者 |
鈴木 泰行 独立行政法人理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, 研究員 (40321773)
今居 譲 独立行政法人理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, 研究員 (30321730)
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キーワード | パーキンソン病 / AR-JP / レビー小体 / Parkin / パエル受容体 / トランスジェニックマウス / HtrA2 / IAP |
研究概要 |
我々はこれまでに常染色体劣性若年性パーキンソニズム(AR-JP)の病因遺伝子Parkinがユビキチンリガーゼであり、その基質がミスフォールド化パエル受容体(Pael-R)であることを見出した。さらに孤発性パーキンソン病のレビー小体にもPael-Rが蓄積していることを明らかにした。平成16年度は、AR-JPのマウスモデルを確立するため、プリオンプロモーターを用いて神経特異的にPael-Rを発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。また、Pael-Rの生理学的役割解明のため、ノックアウト(KO)マウスも作製した。Pael-R TgおよびKOマウスはともに正常に出生し、見かけ上野生型と大きい違いは見られなかった。ところが線条体におけるドーパミンの量、および神経終末からのドーパミン放出はTgマウスで増加、KOマウスで減少していた。さらに行動学的実験ではTgマウスでは活動性が亢進し、KOマウスでは活動性が低下していた。ドーパミン毒の効果を調べると、MPTPによる細胞死はTgマウスでは増強、KOマウスでは減弱していた。以上の結果より、Pael-Rはドーパミン代謝を正に制御する役割を有し、Pael-Rが増加するとドーパミン毒性が高まることによってドーパミン細胞死が起こりやすくなるものと推察された。いっぽう、我々の見出したミトコンドリア由来の細胞死誘導因子HtrA2がそのセリンプロテアーゼ活性により、細胞死防御因子IAPを切断し、ミトコンドリアの膜透過性を上昇させる未知の因子を基質にもつことも解明した。
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