研究課題
【目的】本研究の目的は、我々が独自に開発した抗MCP-1遺伝子治療法が実際にヒトの再狭窄・動脈硬化に対する新しい治療法になりうるかどうかを明らかにすることである。【結果】平成16年度は以下の成果を得た。1.ステント後再狭窄モデル:高コレステロール食負荷サル左腸骨動脈にステントを留置し内膜肥厚モデルを作製した。7ND遺伝子導入によってステント留置部位に生じる新生内膜が抑制された(Gene Therapy 2004)。2.冠インターベンション(PCI)後再狭窄患者を対象とした臨床研究:白血球MCP-1受容体(CCR2)をフローサイトメトリーを用いて解析した。対照群と比較して未治療の高血圧患者では白血球CCR2が増加しており、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARBが投与されている高血圧症患者では対照群と同じレベルであった(Circ Res 2004)。3.心臓移植マウスモデル:心臓移植モデルを用いて、7ND遺伝子導入が移植心の冠動脈病変(炎症性変化、線維化)に対する効果を明らかにした。その結果、7ND遺伝子導入によって単球の動員抑制、冠動脈硬化の抑制がもたらされることが明かとなった(ATVB 2004)。4.脳梗塞モデル:ラット中大脳動脈血栓モデルにおいて、梗塞部周囲に単球浸潤とMCP-1発現が生じること、髄液内7ND遺伝子導入によって梗塞サイズが小さくなること、を明らかにした。5.動脈硬化モデル:すでに動脈硬化病変を有する霊長類(カニクイザル)を用いて、7ND遺伝子導入が病変退縮と安定化プラークの安定化をもたらすことを明らかにした(ATVB 2004)。【総括】霊長類を用いた試験においてステント内再狭窄や動脈硬化に対するに対する7ND遺伝子導入の有効性が示された。さらに、心臓移植、脳梗塞、線維化などに対する有効性が明らかになった。
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