研究概要 |
本年度はまず,自己免疫性水疱症である類元疱瘡(BP)および皮膚悪性リンパ腫である菌状息肉症(MF)におけるTARC/CCL17について検討し,BPにおいては水疱液中血清中で高値を示し,水疱液中の方が血清より高値を示すこと,治療によって軽快すると血清中の値も低下することおよびその受容体CCR4を発現しているThzメモリー細胞が末梢血中で増加していることを示した。MFでは血清で高値を示し,病期の進展に伴なって上昇することを報告した。またCTACK/CCL27がアトピー性皮膚炎や乾癬の血清中で高値を示し,これも病勢の軽快と共に低下することを示した。これらのケモカインもMDC/CCL22もケラチノサイト(KL)から産生されるものと考えている.既にTARC/CCL17のKCからの産生制御については報告した(2002),本年度はKCからのMDC/CCL22産生制御について報告した。 樹状細胞についての検討は,表皮に存在する樹状細胞であるランゲルハンス細胞(LC)について行なっている。LCの検討は,純化したLCを得る困難があり,マウスについての検討である。まず,皮膚疾患は種々の感染によって増悪することが知られている。そこでまずLCにおけるToll-like receptor (TCR)の発現とその機能について,脾臓由来の樹状細胞(DC)と比較して検討した結果を報告した。ここではTCR2,4,9についてであるが,さらにTLR8については別にまとめている。またLipopolysaccharideに対するLC, DCについても報告した。LCからのRANTES/COL5,MIP-1α/CCL3,MIP-1β/CCL4の産生制御やTh_1,Th_2ケモカインについても現在submit中である。
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