研究課題/領域番号 |
14207041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内山 卓 京都大学, 医学研究科, 教授 (80151900)
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研究分担者 |
門脇 則光 京都大学, 医学研究科, 助手 (60324620)
堀 利行 京都大学, 医学研究科, 講師 (70243102)
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キーワード | 自然免疫 / ONO-4007 / OX40 / OX40 ligand(gp34) / 腫瘍ワクチン / 抗腫瘍免疫 / アジュバンド / ドラッグデリバリーシステム |
研究概要 |
本研究では、自然免疫系の活性化とOX40/OX40L系を利用して、造血器腫瘍に対して有効な免疫療法を開発することを目的とする。本年度は、そのための基礎実験として(1)LPSの主要成分であるlipid Aの誘導体ONO-4007による炎症反応と抗腫瘍作用、および、(2)OX40 ligand (OX40L)を遺伝子導入した腫瘍ワクチンによる抗腫瘍免疫の誘導について検討した。 (1)ONO-4007を、腫瘍巣に集積しやすいPEG-リポソームに封入した。これを、マウスリンパ腫細胞株EL4を皮内接種し腫瘍径が約1cmになった担癌マウスに静注すると、24時間後には腫瘍巣に好中球の浸潤がみられ、3日後には壊死を起こした。一方、PEG-リポソームに封入せずにONO-4007を静注した場合も同様の炎症反応が認められ、PEG-リポソームへの封入による腫瘍選択性を見いだすことが現時点ではできていない。 (2)EL4にマウスOX40Lをトランスフェクトして安定発現株EL4-OX40Lおよびそのmockコントロール株EL4-mockを作成した。親株とこれらのトランスフェクタント株をC57/B6マウスの皮下に1×10^5接種し、造腫瘍性を比較したところ、親株およびEL4-mockではすべてのマウスで早期に腫瘍の生着が認められたのに対して、EL4-OX40Lでは、腫瘍の増殖が遅延し、一部のマウスでは全く生着しなかった。また、EL4-OX40Lを接種したマウスの脾細胞中にEL4-OX40Lだけでなく、親株に対する特異的な細胞傷害活性が認められた。 以上の結果から、ONO-4007は抗腫瘍免疫のエフェクター作用を増幅する活性を有すること、また、OX40L腫瘍ワクチンによって造血器腫瘍に対する特異的免疫応答を誘導しうることが示された。
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