研究課題/領域番号 |
14207043
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
横山 直樹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20314487)
|
研究分担者 |
大橋 玉基 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60362779)
竹島 泰弘 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40281141)
常石 秀市 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (10271040)
|
キーワード | アポトーシス / 空間学習能力 / モリス水迷路 / カスペース阻害剤 / BAF / 低酸素虚血障害 |
研究概要 |
Morris水迷路実験は、プール中の水面下に設置されたplatformの位置を記憶するための空間学習能力を客観的に評価するのに優れた方法である。今回、新生児低酸素性虚血性脳障害(HIE)のラットモデルにおいて、海馬神経細胞のアポトーシス細胞死の高次脳機能への影響をMorris水迷路によって評価した。生後4〜5週に1日5回、5日間platformへの泳ぎを学習させたところ、対照群では1分以上かかっていたものが5日目には10秒足らずで到達できるように上達した。HIE群では上達が遅々として進まず、5日目でも50秒以上かかっていた。泳ぐskill(速度)には差はなく、運動障害による差ではないことを証明した。また、HIEラットの負荷後48時間以内の海馬組織において、アポトーシスの存在を抗活性型カスペース-3染色のウエスタンブロット、及び組織Tunnel染色にて検討したどころ、負荷後24〜48時間にかけて持続的にアポトーシス現象の存在を確認した。海馬組織中のカスペース-3活性値も負荷後24時間をピークに一過性の高値をとった。 次に、HIE障害によるアポトーシス細胞死を抑制して脳障害を防止するために、負荷後に非特異的カスペース阻害剤であるboc-aspartyl-(OMe)-fluoromethyl ketone (BAF) 10μmolを腹腔内投与し、生後5週目に水迷路課題を評価した。HIE群は学習効果が不良であったが、BAF投与群においても明らかな学習効果の改善が認められなかった。また、BAF投与群では脳以外への影響によると思われる体重増加不良の傾向があった。これらは投与dose、投与場所(腹腔か脳室内か)、あるいは投与時期の問題が考えられ、今後検討を要する課題である。
|