研究課題/領域番号 |
14207058
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
楠崎 克之 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (30177993)
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研究分担者 |
瀬戸 正史 三重大学, 医学部, 助手 (10324518)
松峯 昭彦 三重大学, 医学部, 助手 (00335118)
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キーワード | 悪性骨軟部腫瘍 / アクリジンオレンジ / 光線力学的療法 / 放射線力学的療法 / 患肢温存療法 / 患肢機能 / 蛍光 / 励起光 |
研究概要 |
今年度はアクリジンオレンジ(AO)を用いた光線および放射線力学的療法を臨床応用するために、先ず腫瘍に強力な励起光を照射するための500Wのキセノン光源を有する照射装置を2台購入するとともにアクリジンオレンジを取り込んだ腫瘍から発生する蛍光を観察するための手術用顕微鏡を購入した。顕微鏡にはアクリジンを励起するための青色の光を選択する干渉フィルターと蛍光を観察するための吸収フィルターを装備した。本治療法による臨床研究に対し三重大学医学部の倫理委員会の承認が平成14年12月に得られたので、5例の悪性骨軟部腫瘍患者(MFH2例、ユーイング肉腫、骨肉腫、滑膜肉腫各1例)に十分な説明の後同意を得て本治療法を施行した。生検材料で腫瘍がAOに親和性のあることを確認し、組織診断が確定した後、重要な神経血管、筋肉を可能な限り温存するため腫瘍の辺縁切除ないし病巣内切除を施行した。1μg/mlの濃度のAOを術野にまんべんなく局所投与して過剰なAOを洗浄吸引した後、残存腫瘍から発生する緑色の蛍光を顕微鏡視下に観察しながら腫瘍を、超音波メスを用いて追加切除した。その後キセノン照射装置を用いて細胞レベルで残存した腫瘍に対して10分間の励起光および全光照射を行って光線力学的療法を施行した。2例については手術後直ぐに放射線治療室で5GyのX線照射を行って放射線力学的療法を併用した。現在のところいずれの症例にも腫瘍の局所再発は認めず、患肢は手術前とほぼ同等の良好な機能を保っている。また、局所的および全身的副作用は全く認めていない。なお、研究代表者である楠崎が京都府立医科大学から三重大学医学部に所属が変わったため臨床研究のスタートが予定よりも約半年遅れている。
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