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2002 年度 実績報告書

麻酔・疼痛シグナル伝達におけるイオンチャネルとイオン・トランスポーターの制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 14207059
研究種目

基盤研究(A)

研究機関岐阜大学

研究代表者

土肥 修司  岐阜大学, 医学部, 教授 (40155627)

研究分担者 辻藤 達也  岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (10293573)
織田 章義  岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (90273135)
柳舘 富美  岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (60313889)
譚 志明  岐阜大学, 医学部, 外国人特別研究員
キーワードイオントランスポーター / Na^+-K^+-2Cl^-cotranspoter / Na^+-H^+の阻害薬 / Na^+,K^+-ATPase / オピオイド / 局所麻酔薬 / イオン交互輸送システム
研究概要

神経系の機能は、脳・脊髄のニューロンやシナプスのイオンチャネルや受容体の活性よる神経伝達物質遊離を介するシグナル伝達機構によって維持される。しかし、Na^+、Ca^<2+>、K^+チャネルなどの知見に比して、イオン調節機構であるNa^+-K^+、Na^+-H^+、Na^+-Ca^<2+>の麻酔や疼痛受容機構における知見は極めて少ない。中枢神経系内のこれらのイオン交互輸送システムの、麻酔薬の作用や疼痛受容」の神経伝達機構における役割は全く明らかではない。
研究者らは、ラットの使用して、細胞内外のNa^+とK^+の濃度を一定にしている細胞膜にある重要な膜蛋白であるNa^+,K^+-ATPaseが脊髄鎮痛シグナルを関与する(Zeng W, Dohi S et al. : Anesthesiology 1999)の報告に引き続いて、Na^+-K^+-2Cl^-、Na^+-Ca^<2+>が脊髄における疼痛伝達シグナルへの影響を検討した。Na^+-H^+の阻害薬(アミロライド)は投与量に依存して抗侵害効果を発揮した。-方、Na^+-K^+-2Cl^-cotranspoterの阻害薬であるフロセミドには抗侵害作用はなく、むしろ痛覚過敏作用を呈した。
細胞内のK^+濃度は細胞によって大きな差はないが、Cl^-の濃度は神経細胞内では4mmol、血液細胞では100mmolである。Cl^-の細胞内濃度は電気化学的な平衡状態からかなりはずれているが、これをNa^+-K^+-2Cl^-cotranspoterのsymportの働きによってCl^-を細胞内移動させる。ループ性利尿薬(furosemide、bumetanide)は、この阻害薬である。腎臓でのNa^+再吸収やCl^-の調節、呼吸系の上皮細胞のボリウムや分泌細胞の塩と水分の調節に重要な役割を演じているが、中枢神経系にも存在し、神経系では細胞内のCl^-の濃度の調節、それ故GABAの神経系反応に影響すると推測されている。しかしながら、私どもの使用した濃度では脊髄レベルで痛覚過敏状態をきたしたのは、抑制系の神経伝達物質ではGABAに機能に何からの影響を与えたと推測される。ウアバイン受容体は中枢神経系内に幅広く分布していることが示されており、また、脊髄後根神経節ニューロンにも分布しサブタイプの機能に関しても研究されている^<19)>。Na^+-H^+ antiporterやNa^+-K^+-2Cl^-cotranspoterの中枢神経系内での作用は今後の研究を待たなくてはならないが、Na+ポンプ(Na^+-K^+ ATPase)と同様、さまざまなホルモンや神経伝達物質の遊離を調節している可能性があり、チャネル蛋白などリン酸化を調停など、疼痛制御機構におけるさまざまな役割が明らかになってくるものと期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Tan Z, Dohi S, Chen J, Bannno Y: "Invlovement of the mitogen-activated protein kinase family in tetracaine-induced PC12 cell death"Anesthesiology. 96:5. 1191-1201 (2002)

  • [文献書誌] Tanabe K, Kozawa O, Niwa M, Yamamoto T, Matsuno H, Dohi S, Uematsu T: "Contrasting effects midalzolam on inducation of heart shock protein 27 by vasopressin and heat in aortic smooth musacle cells"J Cellular Biochemistry. 84/10. 39-46 (2002)

  • [文献書誌] Chem J.Dohi S, Tan Z, Banno Y, Nozawa Y: "THE inhibitory effect of local anesthestics on bradykininn-induced phospholipase D activation in rat pheochromocytoma PC12 cells"Anesthesia Analgesia. 95:. 88-97 (2002)

  • [文献書誌] 土肥修司: "痛みとその制御機構-分子メカニズムと治療の最前線"別冊・医学のあゆみ. 3846 (2002)

  • [文献書誌] 土井修司: "痛みの基礎と臨床"真興交易出版. 300 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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