研究概要 |
局所麻酔薬のリドカインなど様々な作用をもつ薬が、難治性のニューロパッシクペインに効果があるとの報告が散見されているが、その疼痛伝達シグナル機構への作用機序は明らかではない。平成16年度は、所属大学医学部および附属病院の移転があり、予定した研究がすべては遂行されていないが、以下の結果を得た。 1)パッチクランプ法をもちいて、ラット脊髄後根神経節細胞のNa^+チャネルの活動に対する、のTTX抵抗性Na^+チャネルの活動に対する影響と、NMDA受容体拮抗薬、ketamine, dextromethorphan,idenprofilのTTX抵抗性、感受性Na^+チャネル活動に対する影響を観察した。 2)Class 1cの抗不整脈薬、flecainideとpilsicainideのTTX抵抗性Na^+チャネルの活動に対する影響、リドカインと同じく、投与量依存的にTTX抵抗性のを抑制した。3つの薬とも,非活性化曲線を過分極側に移動させ、またuse-dependentブロックも観察した。更に、リドカインとflecainideあるいはpilsicainideとの相互作用も検討し、これらの抗不整脈薬は、疼痛に対して、少なくともDRGニューロンのNa^+チャネル活動を抑制することによって抗侵害受容性効果を発揮するとの結論を得た。 3)NMDA受容体拮抗薬、ketamine, dextromethorphan,idenprofilはいずれもTTX抵抗性、Na^+チャネルの活性を投与量依存的に抑制したが、TTX感受性Na^+チャネルの活動に関しては今のところ一定の結果を得ていない。 臨床で使用可能なNa^+チャネルブロッカー、NMDA受容体拮抗薬のいずれも、脊髄後根ニューロンの活動を抑制を介して疼痛シグナル伝達の制御に影響していると示唆される。
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