研究概要 |
局所麻酔薬のリドカインなど様々な作用をもつ薬が、中枢神経系ニューロンのNa+チャネルに作用し麻酔作用を発揮するとともに、難治性のニューロパッシクペインに効果があるとの報告が散見されているが、その疼痛伝達シグナル機構への作用機序は明らかではない。平成17年度は、医学部および附属病院の移転後の臨床業務の多忙のため、予定した研究がすべては遂行されていないが、以下の結果を得た。 パッチクランプ法をもちいて、ラット脊髄後根神経節細胞のNa^+チャネルの活動に対する、のTTX抵抗性Na^+チャネルの活動に対する影響と、NMDA受容体拮抗薬、ketamine, dextromethorphan, idenprodilのTTX抵抗性、感受性Na^+チャネル活動に対する影響を観察した。NMDA受容体拮抗薬、ketamine, dextromethorphan, idenprofilはいずれもTTX抵抗性、Na^+チャネルの活性を投与量依存的に抑制した。さらに、DRGニューロンのTTX感受性Na^+チャネルの活動は、ケタミン、ifenprodilによって抑制された。Use-dependent blockもifenprodilで著明であった。 臨床で使用可能なNa+チャネルブロッカー、NMDA受容体拮抗薬のいずれも、脊髄後根ニューロンの活動を抑制を介して疼痛シグナル伝達の制御に影響していると示唆される。所麻酔薬ロピバカインとブピバカインが、ERKリン酸化を与える影響を、光学異性体による違いがあるかを検討した。ラットPC12細胞を用いておこなった結果、ロピバカインとブピバカインに異なりはみられたものの、光学異性体による異なりは観察されなかった。
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