研究課題/領域番号 |
14207060
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
前川 剛志 山口大学, 医学部, 教授 (60034972)
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研究分担者 |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991)
笠岡 俊志 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90243667)
岡林 清司 山口大学, 医学部, 助教授 (50127627)
鶴田 良介 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (30263768)
秋村 龍夫 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (30202542)
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キーワード | 急性重症脳障害患者 / 脳脊髄液 / サイトカイン / NOx / グルタミン酸 / ニューロン特異性エノラーゼ / ミクログリア / 17βエストラジオール |
研究概要 |
心肺停止、脳卒中、頭部外傷などによる重症脳障害の予後は非常に悪く、その病態解明と治療法の開発は急務である。本研究ではこれらの病態に炎症・免疫反応が関与するとの発想の転換により、本年度は超急性期から急性期の炎症・免疫・内分泌関連物質の測定法を確立した。臨床研究に関してはプロトコールにつき本院の治験委員会の承認を得た後に、一部の疾患でその病態解明を行った。基礎的研究では中枢神経の免疫に最も関連するミクログリアの細胞培養系を確立し、女性ホルモンの炎症性サイトカインに及ぼす効果を検討した。 測定法の確立:(1)サイトカイン(TNFα、IFNγ、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、…)をELISA法、およびサイトメトリック・ビーズ・アレー法で、(2)NO酸化物(NO2-、NO3-)をキャピラリー電気泳動装置で、(3)カテコールアミン(DA、NE、E)およびその代謝産物のVMAを高速液体クロマトグラムで、(4)アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、シトルリン)を高速液体クロマトグラムで、またクーロアレイメディカルシステム(現在、検討中)で、(5)ニューロン特異性エノラーゼを酵素免疫法でそれぞれ確立した。 臨床研究:心肺停止蘇生後脳症患者の脳脊髄液(CSF)中のサイトカインと神経学的予後との関係を検討し、予後良好群に比し、予後不良群ではIL-8が高値を示すことを明らかにした。また、くも膜下出血術後患者のCSF中のIL-6が異常高値となることが判明し、他のサイトカインに関しても検討中である。 基礎研究:新生仔ラットミクログリアのプライマリーカルチャー系を確立し、内毒素刺激により炎症性サイトカイン(TNFα、IL-1β、IL-6)が3時間後から24時間後までは有意に高値となるが、女性ホルモン(17βエストラジオール)はヒトの生理血中濃度でTNFα、IL-1β、IL-6ともに約50%の上昇にとどまることを明らかにした。ラットの脳梗塞モデルはナイロン系による右中大脳動脈閉塞により確立しつつあり、また前脳虚血モデルは両側総頚動脈閉塞・低血圧(40〜50mmHg)10分、再潅流法で確立できている。
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