2002 年度実績報告書

前立腺癌に対する転移抑制遺伝子の同定と遺伝子診断・治療システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号	14207061
研究種目	基盤研究(A)
研究機関	千葉大学
研究代表者	市川智彦千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20241953)
キーワード	前立腺癌 / 転移 / 転移抑制遺伝子 / 遺伝子診断
研究概要	前立腺癌には前立腺特異抗原(PSA)という有用な腫瘍マーカーがあるが、治療を必要としない早期癌も検出してしまうことなどから、このような弱点を補完する新しいマーカーが求められている。本研究は、このキープレーヤーとなる遺伝子を我々の確立したラット前立腺癌モデルを用いて同定し、前立腺癌の診断のみならず遺伝子治療の基礎を築くことを目的とする。既に確立したDunning R3327ラット前立腺癌を用いた手法により、ヒト13番染色体に転移抑制遺伝子が存在することを示し、論文として報告した。10番染色体にも転移抑制遺伝子が存在することを既に示していたが、この転移抑制は、局所での癌細胞の浸潤ならびに血管内に癌細胞が進入した後の段階の両者を抑制することを示し論文として報告した。また、研究に用いたラット前立腺癌細胞は72kD 4型コラゲナーゼ活性を持っているが、その活性に対して10番染色体は明らかな影響を示さないことも示した。これらと同時に、ヒト前立腺癌臨床検体も解析したが、7q31.1のLOH(loss of heterozygosity)は本邦ではほとんど認めなかった。12p13-12については転移巣において約25%にLOHを認め、欧米とほぼ同様の傾向であることを示した。前立腺癌における遺伝子異常の検出率を上げるために、微量な組織から核酸を抽出し解析するための工夫も必要である。本研究において本年度購入した組織細胞採取装置を用いて、前立腺癌のパラフィン切片から微量な組織を採取する方法を確立した。その他、家族性前立腺癌関連遺伝子であるELAC2遺伝子の変異を解析し、コドン217がロイシンかつコドン541がトレオニンを示す症例において前立腺癌の危険性が増すことを示し論文として報告した。以上の研究成果を臨床に応用するため、臨床症例そのもののまとめや解析も行い論文として報告した。

研究成果
(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] Hamano, M., et al.: "Mechanisms of metastasis suppression by introduction of human chromosome 10 into rat prostate cancer"Asian J. Androl.. 4・2. 123-129 (2002)
[文献書誌] Hosoki, S., et al.: "Suppression of metastasis of rat prostate cancer by introduction of human chromosome 13"Asian J. Androl.. 4・2. 131-136 (2002)
[文献書誌] Nakamachi, H., et al.: "Clinical significance of pulmonary metastases in stage D2 prostate cancer patients"Prostate Cancer Prostatic Dis. 5・2. 159-163 (2002)
[文献書誌] Suzuki, H., et al.: "Clinical characteristics of prostate cancer in elderly Japanese patients 80 years of age or older"Eur. Urol.. 41・2. 172-177 (2002)
[文献書誌] Kawana, Y., et al.: "Loss of heterozygosity at 7q31.1 and 12p13-12 in advanced prostate cancer"Prostate. 53・1. 60-64 (2002)
[文献書誌] Fujiwara, H., et al.: "Association of common missense changes in ELAC2 (HPC2) with prostate cancer in a Japanese case-control series"J. Hum. Genet.. 47・12. 641-648 (2002)
[文献書誌] 市川智彦: "前立腺癌のアンドロゲル依存性の新たなる展開"病理と臨床. 20・4. 394-397 (2002)
[文献書誌] 市川智彦: "癌遺伝子と癌抑制遺伝子異常"日本臨床. 60・増11. 65-69 (2002)

2002 年度 実績報告書

前立腺癌に対する転移抑制遺伝子の同定と遺伝子診断・治療システムの構築

研究代表者

市川 智彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20241953)

研究成果

[文献書誌] Hamano, M., et al.: "Mechanisms of metastasis suppression by introduction of human chromosome 10 into rat prostate cancer"Asian J. Androl.. 4・2. 123-129 (2002)

[文献書誌] Hosoki, S., et al.: "Suppression of metastasis of rat prostate cancer by introduction of human chromosome 13"Asian J. Androl.. 4・2. 131-136 (2002)

[文献書誌] Nakamachi, H., et al.: "Clinical significance of pulmonary metastases in stage D2 prostate cancer patients"Prostate Cancer Prostatic Dis. 5・2. 159-163 (2002)

[文献書誌] Suzuki, H., et al.: "Clinical characteristics of prostate cancer in elderly Japanese patients 80 years of age or older"Eur. Urol.. 41・2. 172-177 (2002)

[文献書誌] Kawana, Y., et al.: "Loss of heterozygosity at 7q31.1 and 12p13-12 in advanced prostate cancer"Prostate. 53・1. 60-64 (2002)

[文献書誌] Fujiwara, H., et al.: "Association of common missense changes in ELAC2 (HPC2) with prostate cancer in a Japanese case-control series"J. Hum. Genet.. 47・12. 641-648 (2002)

[文献書誌] 市川 智彦: "前立腺癌のアンドロゲル依存性の新たなる展開"病理と臨床. 20・4. 394-397 (2002)

[文献書誌] 市川 智彦: "癌遺伝子と癌抑制遺伝子異常"日本臨床. 60・増11. 65-69 (2002)

2002 年度実績報告書

市川智彦千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20241953)

[文献書誌] 市川智彦: "前立腺癌のアンドロゲル依存性の新たなる展開"病理と臨床. 20・4. 394-397 (2002)

[文献書誌] 市川智彦: "癌遺伝子と癌抑制遺伝子異常"日本臨床. 60・増11. 65-69 (2002)