研究概要 |
膀胱癌において、はすでに終了した1000例規模のアウトカム研究の解析を推し進め、術前化学療法が有益と思われる症例の選定や化学療法後のサロゲートエンドポイントとして原発巣のダウンステージングがマーカーとなりうることを示した(Int.J.Clin.Oncol., 2005, Clin.Cancer Res., 2006)。また、膀胱癌にて近年問題化している化学療法耐性の克服のために、膀胱癌特異的に上昇している活性酸素種(Ros)解毒作用をもつNADH quinone oxidoreductase-1(NQO1)酵素に注目し、その阻害剤であるDicoumarolによってシスプラチン等の抗癌剤の抗腫瘍効果を増強する知見を見出し、解析の結果、Dicoumarolの細胞障害活性はp53-p21経路を介した細胞周期停止機構を阻害し、その結果JNKを活性化することでmitochondriaを介したapoptosisを誘導することが判明し報告した(Oncogene.2006 in press)。 腎癌では臨床経過の明らかとなっている腫瘍組織を用いたC-DNA microarray解析より、腎細胞癌の予後に相関する遺伝子を10種類同定し、その機能解析を進めている。また、1000例規模の腎摘出後のアウトカムを調べる後ろ向き多施設研究も開始した。 前立腺癌では、日本人の前立腺全摘標本を用いてtissue microarrayを作成し、前立腺癌の予後と相関のある前立腺癌関連分子の発現を検討した(Urology, 2005)。臨床検体より得られた癌組織よりXenographt modelを作製し前立腺癌がアンドロゲン受容体変異によりホルモン治療抵抗性を獲得するメカニズムの解明を行った(Cancer Res., 2005)。この他、培養細胞を用いて前立腺癌のアンドロゲン依存性増殖機構の解明を行っている(論文投稿中)
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