研究課題/領域番号 |
14207064
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武谷 雄二 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10114539)
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研究分担者 |
矢野 哲 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90251264)
藤井 知行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40209010)
久具 宏司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30322051)
百枝 幹雄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50221627)
大須賀 穣 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80260496)
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キーワード | ミッドカイン / 子宮内膜症 / GnRHアナログ / BrdU取り込み / 腹腔内貯留液 / 卵胞液 |
研究概要 |
ミッドカインは血管新生作用をはじめとして多彩な機能をもつ蛋白である。ミッドカインが子宮内膜症に関与しているとする報告があり、今回は、ミッドカインの子宮内膜症における意義をより明確にするための実験を施行した。子宮内膜より間質細胞を分離培養し、BrdUの取り込みを指標としてミッドカインの子宮内膜間質細胞に対する増殖促進作用を検討した。ついで、手術の際にインフォームドコンセントのもと採取した腹腔内貯留液と卵胞液中のミッドカイン濃度をELISA法により測定した。さらに、腹腔内の白血球、腹膜、子宮内膜症組織中のミッドカインmRNA発現をRT-PCR法により調べた。ミッドカインは子宮内膜間質細胞のBrdU取り込みを有意に促進した。臨床進行期II, III, IV期の進行した子宮内膜症患者において、腹腔内貯留液中のミッドカイン濃度は、I期患者ならびに非子宮内膜症婦人より有意に高値を示した。一方、GnRHアナログ治療中の患者の腹腔内貯留液中ミッドカイン濃度は、他の群に比較し有意に低い値であった。卵胞液中のミッドカイン濃度は腹腔内貯留液より200倍以上高値であった。ミッドカインmRNAの発現は腹腔内の白血球、腹膜、子宮内膜症組織中のいずれにも認められた。これらの結果から、子宮内膜症患者ではミッドカインの作用により子宮内膜症が進展する可能性が示唆された。また、腹腔内でのミッドカインの上昇には排卵による卵胞液の影響も考えられた。また、GnRHアナログの子宮内膜症に対する治療効果の一部にミッドカインの産生抑制作用が関係している可能性が考えられた。
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