研究課題/領域番号 |
14207065
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
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研究分担者 |
鈴木 直 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90246356)
進 伸幸 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90206459)
塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40118972)
石田 功 キリンビール(株), 医薬カンパニー, プロジェクトリーダー(研究職)
福地 剛 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70245554)
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キーワード | ヒト型モノクローナル抗体 / Cross-bred TC mouse / ミサイル療法 / 子宮体癌 / 卵巣癌 |
研究概要 |
我々の研究グループはヒト抗体遺伝子全長をマウスへ導入して、完全ヒト抗体を産生するCross-bred TC mouseを作製し、純度の高いヒト型抗体を産生する新しい技術を世界に先駆けて確立した。本研究では、このマウスを用いてヒト型モノクローナル抗体(Mab)の作製を試み、癌細胞のみを高い確率で認識するヒト型Mabを選別し、これらに抗癌剤を結合させ、ミサイル療法に有効な免疫複合体の確立を目指すことを目的とした。 (1)Cross-bred TC mouseを子宮体癌培養細胞SNG-Sで免疫し、常法によって得られたハイブリドーマの培養上清を用いて免疫組織化学的染色を繰り返し、限界希釈法によって体癌細胞と反応するクローン(10-9D)を選別した。10-9Dは体癌の54.6%(53/97)に陽性反応を示し、正常内膜および各種全身臓器や癌に対してほとんど反応を認めず、組織切片の過沃素酸処理によって反応が減弱し、western blotではSNG-Sの膜分画に対して、90kDa付近と180kDa付近にバンドを認めた。反応性はシアリダーゼやN-グリコシダーゼ処理にて変化は見られず、O-グリカン合成を阻害するbenzyl GalNAcを添加して培養した細胞との反応性は減弱したことから、10-9Dの認識抗原はシアル酸を含まないO-グリカン構造を有する細胞膜上の糖蛋白質であることが判明した。 (2)Cross-bred TC mouseを卵巣明細胞腺癌培養細胞RMG-1で免疫し、1と同様の方法で細胞融合、スクリーニングを行い、卵巣明細胞腺癌細胞と反応するクローン(2-10A)を選別した。2-10Aは表層上皮性卵巣癌全体の83.2%(84/101)に陽性であり、漿液性、類内膜、明細胞、粘液性の各組織型の陽性率はそれぞれ72.2%,73.9%,90%,90%であった。RMG-1の膜画分のwestern blot解析では37〜50kDa付近にブロードなバンドが得られた。
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