研究概要 |
1)酸素濃度の角膜上皮のバリアー機能に与える影響 角膜上皮細胞のバリアー機能は,低酸素(1%)暴露により低下した。高酸素(60%)暴露ではバリアー機能に影響はなかった。また,低酸素暴露により角膜上皮細胞のZO-1蛋白の発現が低下した。 2)サイトカインの角膜上皮バリアー機能に与える影響 炎症性サイトカインであるTNF-αは角膜上皮細胞のバリアー機能を低下させた。また,Th2サイトカインのうち,IL-4およびIL-13も角膜上皮細胞のバリアー機能を低下させた。また,サイトカインによるバリアー機能の低下は,副腎皮質ステロイドであるデキサメサゾンの前処理によって回復した。 3)3次元コラーゲンゲル内角膜実質細胞培養法を用いた細胞外マトリックスによるコラーゲン収縮能の変化 角膜実質細胞をI型コラーゲンに加えてIV型コラーゲン,フィブロネクチンやラミニンなどの細胞外マトリックスやヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸,ケラタン硫酸などのグリコサミノグリカンを添加してゲルを形成して培養しコラーゲンゲルの収縮作用を検討した。これらの細胞外マトリックスのうち,フィブロネクチンのみがゲル収縮を促進した。またフィブロネクチンは角膜実質細胞内のストレスファイバーの形成を促進し,細胞形状を伸展させた。 4)角膜実質細胞によるコラーゲン分解の制御 角膜実質細胞をI型コラーゲンゲル内で培養し,コラーゲン分解活性を測定した。炎症性サイトカインであるIL-1によってコラーゲン分解は促進し,デキサメサゾンにより抑制された。これらの作用は角膜実質細胞によるMMP-1およびMMP-3の産生および活性化を介する作用であった。
|