研究課題/領域番号 |
14207073
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
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研究分担者 |
谷原 正夫 奈良先端科学技術, 大学院大学・物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
遠藤 克昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (30025613)
井出 千束 京都大学, 医学研究科, 教授 (70010080)
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キーワード | 神経幹細胞 / アストロサイト / オリゴデンドロサイト / 分化 / 損傷 / 脊髄 / アルギン酸 |
研究概要 |
従来、脊髄損傷は臨床医療のレベルでは際立った治療法もなく、受傷直後より対症療法が中心である。我々は本年度、中枢神経障害のモデルとして脊髄損傷ラットを対象とし、細胞移植治療の可能性を対象とした。移植細胞は海馬からの神経幹細胞を選択した。脊髄損傷ラットを作成し、(TH8-9)GFPで標識された神経幹細胞塊を損傷部に注入したところ、移植後4週間を経ても移植細胞は損傷部の空洞形成部分に生着し、宿主の細胞と干渉しあい、増殖していた。また、注入部より離れた宿主の脊髄部分に侵入しており、一部の細胞は、アストロサイトやオリゴデンドロサイトへの分化が示唆され、細胞移植による治療の可能性が示唆された。 一方、細胞移植の手段として、直接の細胞移植は臨床応用を考慮した場合、脊髄神経に直接注射することによる二次的な損傷の可能性があった。そこで、我々は脊髄損傷ラットへ脳脊髄液を解介しての細胞移植を試みた。脊髄損傷後、ラットの第4脳室から細胞を移植したところ、移植した神経幹細胞は軟膜損傷部から損傷脊髄内に侵入し、増殖をしめした。また、直接注入した場合と同様にグリア細胞などの神経系統細胞への分化をしめした。脳脊髄液を介しての細胞移植は、損傷部をこえての末梢部までゆきわたるほか、長期(移植後1年)を経ても宿主脊髄内に存在していた。 以上の結果より神経幹細胞の有用性が証明された。今後、慢性期の損傷に対する検討を行うとともに、アルギン酸をそのキャリアーとして用いることが可能となるように改良する
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