研究課題/領域番号 |
14207073
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
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研究分担者 |
中谷 壽男 関西医科大学, 医学部, 教授 (70188978)
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授
井出 千束 京都大学, 医学研究科, 教授 (70010080)
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キーワード | 末梢神経 / 中枢神経 / マトリクス / 再生 / 吸収性材料 |
研究概要 |
目的:何らかの原因で末梢神経が損傷された際、自己の感覚神経を移植する方法が用いられているが、ドナーとなる神経の犠牲が問題であった。人工材料を用いることでドナーとなる神経の犠牲を解消し、また、末梢神経軸索のより効果的な再生のため細胞接着しやすいキトサンスポンジを用いて研究を行った。方法:ウィスターラット(生後4週、雄)の坐骨神経を切断し、7mmの軸索欠損部を作製した。キトサンスポンジを軸索欠損部の上下にサンドイッチ状に置き、欠損部を架橋した。術後4日、7日、14日、1ヶ月、2ヶ月及び4ヵ月後に、軸索再生の状態を観察した。観察は、以下の3つの方法を用いた。(1)術後4日、7日、14日、1ヶ月、2ヶ月及び4ヵ月後のモデルをホルマリン固定後、軸索の長軸方向にそった10μmmの凍結切片を作製し、軸索及びシュワン細胞を免疫組織学的に観察した。(2)術後2ヶ月及び4ヶ月のモデルをホルマリン固定後、長軸方向に垂直にエポン固定を施行し、軸索欠損部、欠損部より末梢側における再生軸索数及び短径を観察した。(3)術後4日、7日、14日のモデルをグルタル酸固定後、電子顕微鏡下にキトサンスポンジと再生軸索との関係を観察した。また、コントロール群として、コラーゲンスポンジを用いた。 結果:(1)中枢端において、シュワン細胞の遊走は、術後4日目モデルより認められ、コントロール群に比べてより伸長していた。また、軸索はキトサンスポンジの間を直線状に伸長していた。1ヶ月日には再生軸索は末梢端末まで伸長していた。(2)2ヶ月モデルに比し、4ヶ月において軸索数は増加し、また、軸索径はより大きくなり、ミエリン形成も良好であった。(3)再生軸索はキトサンスポンジに沿って伸長していた。 結論:以上より、再生軸索は、キトサンスポンジに沿って直線状に伸長していた。キトサンスポンジを用いたことにより、末梢神経軸索の再生は、早期より良好にされたと考えられた。
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