研究課題/領域番号 |
14207077
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山田 好秋 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80115089)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00303131)
山村 健介 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90272822)
前田 健康 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40183941)
井出 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20103377)
石川 達也 東京歯科大学, 学長 (30085708)
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キーワード | 摂食 / 嚥下誘発 / 脳磁図 / 急性動物 / 島 / 帯状皮質 |
研究概要 |
昨年度に続きヒトの随意性嚥下誘発域について脳磁図計を用いて検索した。昨年度の研究では嚥下に先行して「島」および「帯状皮質」が活動することを見いだしているが、今年度はその活動タイミングと左右差について詳細に検索した。帯状皮質は嚥下の約2秒前に活動が集中しており、左右差はみられなかった。また前部と後部で機能的に違いが報告されているが、前部でも後部でも潜時に差はみられなかった。一方、島については左優位で、主に前部に活動がみられた。潜時は帯状皮質と異なり記録開始(嚥下前2.5秒)から広い範囲に分布し、特に特定の潜時は見いだせなかった。動物実験でも島を刺激すると、単発刺激では嚥下は誘発できないものの、連続刺激をすると誘発される点、嚥下障害者の島前方に器質的障害が観察されるなど、脳磁図計で観察された島の活動は従来の研究結果とよい一致を見ている。 動物実験のグループは26羽のウサギから95カ所の大脳皮質咀嚼野を同定し、周期性顎運動時に上喉頭神経を電気刺激することで嚥下を誘発した。その中で「大脳皮質咀嚼野刺激のみ」、「上喉頭神経刺激のみ」、「大脳皮質咀嚼野と上喉頭神経の同時刺激」の3条件下で誘発閾値の変化を比較した。その結果、末梢性の嚥下誘発に比較して皮質咀嚼野刺激を同時に加えた場合、95カ所の皮質咀嚼野のうち49カ所(52%)で促通が観察されたが、残りの46カ所では誘発効果に変化が見られず、結果的に抑制を示す部位は無かった。続いて、嚥下誘発における大脳皮質咀嚼野刺激の促通効果が、皮質から嚥下中枢への直接的な影響なのか、または大脳皮質咀嚼野刺激により誘発される下顎運動が口腔内の受容器を刺激した結果なのかを明確にするため、口腔内感覚受容器を支配している眼窩下神経と上歯槽神経を切断した上で同じ実験を行い、末梢性感覚入力の影響は無いことが明らかとなった。
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