変動電場による局所麻酔薬分子の組織内移送に関する研究

2005 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 14207088
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 外科系歯学
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 海野 雅浩 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90014125)
• 研究分担者: 芝地 貴夫 東京医科歯科大学, 歯学部付属病院, 助手 (90323724)
• 研究期間 (年度): 2002 – 2005
• キーワード: イオントフォレーシス / 交流 / 移送効率 / 局所麻酔薬 / 正弦波 / 非イオン化分子 / 高分子

研究概要

イオントフォレーシス(Iontophoresis)に関する研究とその臨床応用は古くから行われてきた。現在までに臨床応用されているのは主に直流通電である。しかし人体への直流通電は電気的火傷などの副作用や電気分極による浸透効率の低下、通電時間の制限などの短所がある。そこで以上のような副作用が少ない変動電場を用いたところ、薬剤の経皮的移送効率が高まることを明らかにし、その理論的メカニズムを提唱してきた。局所麻酔薬分子である塩酸リドカインを用い、セロハン膜およびヘアレスラットの皮膚を用いたin vitro実験,全身麻酔下のヘアレスラット腹部皮膚でのin vivo実験を行った。in vitroの実験においては平行平板型のセルを使用し、in vivoの実験では腹部皮膚にセルを密着させるために開発した円周電極と円形電極を組み合わせた新型セルを使用した。周波数および電圧などの通電条件を変化させることによりいずれの実験においても自然拡散に比べ有意に塩酸リドカインの移送量を増加させることに成功した。これらの実験はすべて正弦波を用いているが、現在は矩形波などの様々な波形の変動電場を用いてより浸透効率を高める最適な通電波形を探索中である。
また臨床応用を可能にする更なる新型セルの開発と局所麻酔薬分子である塩酸リドカインに限らず、肝代謝が大きい薬剤や経口投与ができないため皮下注射などの、投与する際に痛みを伴う薬剤や、非イオン化分子、高分子、などの薬剤の経皮的送達を臨床応用することを目標としている。

研究成果

• [雑誌論文] 広範囲周波数の交流通電によるリドカインのセロハン膜透過 (2005)
  • 著者名/発表者名: 泉川仁美
  • 雑誌名: 口腔病学会雑誌 72巻2号 ページ: 37-43
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [雑誌論文] 無痛無針局所麻酔法の開発 臨床応用に向けて 変動電場通電時の感覚と周波数の関係 (2005)
  • 著者名/発表者名: 木下樹, 芳賀浩昭, 大上沙央理, 泉川仁美, 芝地貴夫, 海野雅浩
  • 雑誌名: 日本歯科医学会誌 24巻 ページ: 87-92
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [雑誌論文] Lidocaine transport through living rat skin using alternating current (2005)
  • 著者名/発表者名: Haga, H., Shibaji, T., Umino, M.
  • 雑誌名: Medical & Biological Engineering & Computing 43巻 ページ: 622-629
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [雑誌論文] Lidocaine Transportation through a Cellophane Membrane by Wide Range AC Frequencies. (2005)
  • 著者名/発表者名: Izumikawa Hitomi
  • 雑誌名: The Journal of The Stomatological Society, Japan 72(2) ページ: 37-43
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Lidocaine transport through living rat skin using alternating current (2005)
  • 著者名/発表者名: Haga, H., Shibaji, T., Umino, M.
  • 雑誌名: Medical & Biological Engineering & Computing 43 ページ: 622-629
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Needle Less and Pain Less Local Anesthesia The Influence about Pain Threshold and Feeling of the Skin Under AC Application of the Skin. (2005)
  • 著者名/発表者名: Kinoshita, T., Haga, H., Ogami, S., Izumikawa, H., Shibaji, T., Umino, M.
  • 雑誌名: Journal of The Japanese Association for Dental Science 24 ページ: 87-92
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Transdermal Delivery of Lidocaine in vitro by Alternating Current (2003)
  • 著者名/発表者名: Kinosita, T., Shibaji, T., Umino, M.
  • 雑誌名: Journal of Medical and Dental Sciences 69巻1号 ページ: 71-77
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [雑誌論文] Transdermal Deliverry of Lidocaine In vitro by Alternating Current. (2003)
  • 著者名/発表者名: Kinosita, T., Shibaji, T., Umino, M.
  • 雑誌名: Journal of Medical and Dental Sciences 50(1) ページ: 71-77
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [雑誌論文] Experimental and theoretical studies of effect of electrode polarization on capacitances of blood and potassium chloride solution (2002)
  • 著者名/発表者名: Umino, M., Oda, N., Yasuhara, Y.
  • 雑誌名: Medical & Biological Engineering & Computing 40巻5号 ページ: 533-541
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [雑誌論文] Experimental and theoretical studies of effect of electrode polarization on capacitances of blood and potassium chloride solution. (2002)
  • 著者名/発表者名: Umino, M., Oda, N., Yasuhara, Y.
  • 雑誌名: Medical & Biological Engineering & Computing 40(5) ページ: 533-541
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より