口腔・顔面・頭頸部に愁訴を有する患者は生活におけるストレスからの身体反応であることが明らかになりつつある。人が生活するうえでは心理社会的なストレスが考えられているが、同じストレスイベントがそれぞれの個人にとって同様なストレスとなることはない。ストレスは人にとって様々であり、これを明示することは難しく、試みに反して明らかになってはいない。我々は、ストレスによる身体に起こる愁訴について明らかにするために、この発現機構について検討している。ストレスが人体に加わると、生理的に反応するが生体では自律神経系がこれを行っている。自律神経は交感神経系、副交感神経系が関与し交感神経系が反応したときに筋肉に防御や行動のために反応が生じる。これが筋緊張である。自律神経機能評価には心拍変動の周波数解析を、口腔・顔面・頭頸部愁訴の舌痛症患者に行った。舌痛症患者は対照群に比べ、交感神経系の機能亢進と副交感神経系の機能減弱が観察された。正常な自律神経系の機能が失われている可能性が明らかになった。 一方、交感神経系の機能亢進から生じる筋緊張状態に対しては筋電計を用いて測定している。実際の計測は、臨床心理士の治療によるストレス開放状態や歯科治療が患者にどの程度のストレスを与えるかついて行っている。 臨床では口腔・顔面・頭頸部愁訴の呑気症患者に関連して、第10回日本心療内科学会で発表した。
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