研究概要 |
1.口腔癌に対するOK-432,UFT及び放射線治療の同時併用療法は、非常に有効であり手術を必要としないで治癒する症例を多数認めた。この時血液中にIFN-γ,IL-2,及びNO_2^-/NO_3^-の産生を検出した。2.OK-432によるIFN-γの誘導及び抗腫瘍効果の発現は、Toll-like receptor 4 (TLR4)/MD-2遺伝子を介したシグナル伝達であることを明らかにした。3.本治療法により治癒する症例の生検組織において、チミジン合成酵素とジヒドロピリミジン脱水素酵素の発現は低レベルを示した。4.口腔癌(口腔扁平上皮癌と口腔小唾液腺癌)細胞においては、正常細胞と比較して、NF-kBの活性は有意に上昇していた。一方、口腔癌細胞を5-フルオロウラシルで処理すると、NF-kB活性は抑制されアポトーシスが誘導された。5.OK-432より生理活性分子であるリポタイコ酸関連分子(OK-PSA)を調製した口腔癌細胞をヌードマウス背部皮下に移植して調製した担癌マウスをRT, OK-PSAで治癒すると有意な抗腫瘍効果を認めた。またこの場合、血液中にIFN-γ,TNF-α,IL-12,IL-18,NOの産生を検出した。更に、腫瘍浸潤リンパ球、脾細胞のkiller活性が有意に上昇した。更に、腫瘍リンパ節及び脾臓において、IFN-γ,IL-2,TNF-α,Fas/Fas L, DR5/TRAIL, iNOSの発現がRT-PCR及び免疫染色により検出された。加えて、腫瘍組織切片において、ROS/RNSの産生を認めた。6.C3H/HeN及びC3H/HeJマウスに同系の扁平上皮癌SCCVIIをマウス背部皮下に移植して調製した担癌マウスをOK-432或いはOK-PSAで治療すると、TLR4遺伝子が野生型のC3H/HeNにおいてのみ抗腫瘍効果を検出した。
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