研究課題/領域番号 |
14207093
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20125008)
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研究分担者 |
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
吉成 正雄 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (10085839)
阿部 伸一 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40256300)
田崎 雅和 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40155065)
山田 了 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20103351)
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キーワード | 人工歯根膜 / tissue engineering / ハニカム構造 / Scaffold / プラズマ表面改質装置 / Fibronectin / bFGF / インプラント |
研究概要 |
最終年度は、tissue engineeringの実現として、チタン表面にタンパクを吸着させ、その上での細胞動態を確認し、in vivoでの検証につなげるための実験を行った。この実験の目的は、チタンインプラント表面に人工歯根膜をつけるという本プロジェクトの目的を受けた最終段階の実験である。まず、初年度に購入したプラズマ重合装置を用いて、チタン表面上に酸素プラズマ処理を行い、その後細胞増殖に関連する多くのタンパクの中でFGF2(bFGF)を浸漬することで吸着させたFGF-2固定後に抗FGF-2抗体を一次抗体として用い、FITC標識にて共焦点レーザー顕微鏡で蛍光抗体法にて証明した。FGF-2の固定量は、チタン薄膜へ微振動を与えることによって、固定前と固定後の振動周波数の変化による方法を用いて計測した。その結果、FGF2は約26ng吸着し、3日間吸着を続けていることが明らかとなった。また、FGF2の抗体を用いて共焦点レーザー顕微鏡で観察すると、プラズマ膜を形成した部位で明らかな陽性反応を認めた。この結果をうけて、実際にFGF2が吸着したチタン表面で歯根膜由来間葉系培養細胞(以下PLと略す)がどのような変化を示すかを検討した。PLFGF2が吸着したチタン表面上に播種し、チタン表面のみを対照群として比較検討した。その結果、細胞増殖はFGF2吸着群で増殖することが明らかとなった。アルカリフォスファターゼ活性では反対にFGF2吸着チタン上で抑制されていた。次にI型コラーゲンmRNA発現は、FGF2吸着チタン上で有意差を持って高い発現を示し、VEGFmRNA発現は、FGF2吸着チタン上で培養1日後に高い発現を示したが、その後の発現は無かった。以上の実験結果から、チタン表面にまず歯根膜細胞を増殖させることが可能であることが解明され、人工歯根膜作製への足がかりとなった。また、チタンメッシュ製スカホールドに分子プレカーサー法にて炭酸アパタイトをコーティングする方法、およびその物性について検討した。その結果、炭酸アパタイトがスカホールド内部までコーティングできることが明らかとなり、本コーティング膜にBisphosphonateを固定することにより、強度を必要とする部位への骨再生療法の展望が開けた。
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