研究課題/領域番号 |
14207095
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 修 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50195781)
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研究分担者 |
山下 恭弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (90334341)
森 雄一朗 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (80334340)
眞鍋 敬 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (00251439)
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キーワード | 水 / 界面活性剤型触媒 / 脱水反応 / Bronsted酸触媒 / 疎水的反応場 / マイクロカプセル化触媒 / ルテニウム / オレフィンメタセシス反応 |
研究概要 |
現代の有機合成化学において、効率化の追求と同時に有害な廃棄物を出さない化学合成プロセスの開発は、地球環境の保護の観点からも重要な研究課題である。本研究においては、反応溶媒として水を用いる反応の開発、および高分子固定化金属触媒の開発とその応用についての検討を行った。以下に得られた成果についてまとめる。 1.有機反応を行うにあたり、有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いる化学合成手法の開発は、環境に付加をかけないプロセス構築の観点からも非常に期待されている。脱水反応は、通常有機溶媒中で行われる有機合成の中で最も基本的な反応の一つである。今回、申請者らは界面活性剤型Bronsted酸触媒と反応基質が作り出すナノスケールの疎水的反応場が、水中での脱水反応に有効なことを明らかにした。様々な脱水反応について検討を行ったところ、カルボン酸とアルコールとの脱水的エステル生成反応をはじめ、脱水的エーテル生成反応、脱水的スルフィド生成反応、脱水的ジチオアセタール化反応などが良好な収率をもって進行することを見出した。これらの成果は、溶媒としての水の活用の新たな可能性を示すものである。 2.高機能の金属触媒は人体や環境に有害であることも多く、その使用にあたりなるべく金属の廃棄を行わない化学プロセスの開発が重要である。この問題に対し、申請者らはマイクロカプセル化法を用いる金属触媒の高分子上への固定化を検討している。今回、金属としてルテニウムの固定化を検討し、それを用いてオレフィンのメタセシス反応について検討を行ったところ、ポリスチレン上のベンゼン環とルテニウム原子との相互作用を利用して触媒を固定化することができ、メタセシス反応においてこの触媒が有効に機能することを見出した。この触媒は反応後回収し、再度反応に利用できることができ、よりクリーンな科学プロセスの構築に大きく貢献するものである。
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