研究課題/領域番号 |
14207098
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
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研究分担者 |
新原 智子 昭和大学, 薬学部, 助手 (60266161)
中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 講師 (80266163)
村上 誠 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60276607)
桑田 浩 昭和大学, 薬学部, 助手 (80286864)
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キーワード | ホスホリパーゼA2 / アラキドン酸 / PGE2 / 免疫組織化学 / アデノウイルス / 肺炎 / リウマチ / 雄性生殖器 |
研究概要 |
本研究では、哺乳動物に20種類以上存在するPLA_2の各分子種の機能を解明し、これを体系化することを目的としている。本年度は特にsPLA_2分子種について、そのヒト病理組織での発現と、アラキドン酸代謝への関与について検討を行った。免疫組織化学染色の結果、ヒト肺炎ではsPLA_2-Vと-Xが広範に発現しており、アデノウイルス発現系によりヒト初代培養気管支上皮細胞、肺線維芽細胞に発現させるとアラキドン酸代謝が亢進した。ヒトリウマチ関節炎ではsPLA_2-IIA、-V、-Xが滑膜細胞に発現しており、培養滑膜細胞に対してアラキドン酸代謝を亢進した。癌組織では、癌のタイプに応じて異なるsPLA_2分子種が多様な発現様式を示し、このうち大腸癌細胞株に各種sPLA_2をレンチウイルス発現系を用いて導入した結果、全てのsPLA_2においてPGE_2産生の増強が認められた。心筋梗塞や肝硬変などの組織障害では、sPLA_2-IIAと-Vの発現が選択的に上昇していた。更に組織の枠を超えて普遍的に、sPLA_2-IIAは血管平滑筋に、sPLA_2-Vは間質線維化組織に、sPLA_2-Xは神経線維に発現していることが明らかとなり、各々が細胞特異的な機能への関与が予想された。また、sPLA_2群が高発現していることが知られている雄性生殖器についても検討を行い、精子形成細胞にsPLA_2-IID、-V、-Xが、Leydig細胞にsPLA_2-IIFと-Vが、Sertoli細胞にsPLA_2-IIEが、前立腺上皮細胞にsPLA_2-IIAが発現していることを見い出した。現在はこれらの知見を元に、臓器固有のsPLA_2の機能について、トランスジェニックあるいはノックアウトマウスを用いて解析を進めていく予定である。現在、sPLA_2-III,-V,-Xについてトランスジェニックマウスを、sPLA_2-Xについてノックアウトマウスを調整中である。
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