研究課題/領域番号 |
14207100
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
青木 康展 国立環境研究所, 化学物質環境リスク研究センター, 室長 (20159297)
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研究分担者 |
能美 健彦 国立医薬品食品研究所, 変異遺伝部, 室長 (30150890)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50166823)
松本 理 国立環境研究所, 化学物質環境リスク研究センター, 主任研究員 (60132867)
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キーワード | 変異原物質検出 / gpt deltaマウス / Benzo(a)pyrene / ディーゼル排気 |
研究概要 |
ディーゼル粉塵および大気浮遊粒子中にはBenzo(a)pyrene(BaP)をはじめとした様々な多環芳香族炭化水素(PAH)が含まれている。最も強い変異原性を示すPAHの一つであるBaPを気管内投与したマウス肺での腫瘍形成は既に報告されているが、BaPが肺中で示す変異原性の定量的解析は行われていない。そこで、本研究ではin vivo突然変異を検出するgpt deltaトランスジェニックマウスを用いて、BaPを気管内投与し、肺中の突然変異頻度(MF)および変異のスペクトル解析を行った。 9週齢の雄gpt deltaトランスジェニックマウスに0(対照群)、0.5、1.0mg BaP/50μl tricaprylinの用量で単回気管内投与し、投与14日後に、肺を摘出し、肺のDNAを抽出した。点突然変異の検出が可能な6-thioguanine selectionによりgpt遺伝子に生じた突然変異頻度を測定した。変異コロニーより、gpt遺伝子のコード領域をPCRで増幅しPCR増幅産物をテンプレートとしてシークエンス解析を行った。対照群のMFは0.6×10^<-5>であるのに対し、BaP 0.5mg投与群のMFは1.7×10^<-5>、BaP 1mg投与群のMFは2.8×10^<-5>であり有意に増加した。BaP 0-1mgの間で用量相関性が示された。BaP投与による変異スペクトルは、多くのPAHで特徴的な変異であるG:C→T:A変異が用量依存的に増加することが示された。また、1塩基の欠失変異についても用量依存的に変異が増加した。 ディーゼル排気3ヶ月間曝露では対照群のMFが0.6×10^<-5>であるのに対し1mg/m^3及び3mg/m^3曝露群のMFがそれぞれ1.8×10^<-5>及び1.9×10^<-5>であり有意差が示された。しかし、用量依存性は示されなかった。
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