研究概要 |
(1)既に完了した全ゲノムにわたる罹患同胞対解析の結果と、諸外国からの報告を考慮し、再現性の高い5q33.1領域について候補遺伝子を選定し、遺伝子領域内に均等に配置したSNPによる連鎖不平衡解析に基づく関連解析を行った。現在のところ、GLRA1,CSNK1A1,NMU2R, G3BP, ATOX1,SPARC, FAT2,SLC6A7解析が終了し、たが、まだ関連は見出されていない。 (2)統合失調症のグルタミン酸伝達異常モデルに基づき、グルタミン酸受容体遺伝子群の系統的な関連解析を継続している。GRIN2D, GRIA1,GRIK3,GRM1,GRM7,GRM8の解析が終了し、昨年度のGRM3,GRIA4にグルタミン酸受容体の上流に位置する遺伝子の統合失調症への関連を示す報告が相次いでいるが、我々の結果もこれを支持するものである。 (3)グルタミン酸伝達との関わり合いから、グルタミン酸トランスポーター遺伝子群の系統的な関連解析も開始した。EAAT2グルタミン酸トランスポーター遺伝子(SLC1A2)には関連が認められなかった。 (4)メタンフェタミン投与ラットから、発現変化を来す遺伝子としてdifferential displayを用いてユビキチン活性化酵素遺伝子(UBE1)を単離し、現在SNPの検索と関連解析を行っている。フェンシクリジン投与ラットの大脳の5部位からマイクロアレイを用いて、投与1時間および4時間後発現に変化を来す遺伝子の探索を行い、発現亢進を来す遺伝子71個、発現低下と来す遺伝子31個を見出した。 (5)先に関連が認められたGRM3,GRIA4についてノックアウトマウスを作成中であり、現在キメラマウスを単離した段階である。
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