研究課題/領域番号 |
14207104
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺崎 哲也 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (60155463)
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研究分担者 |
大槻 純男 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (60323036)
堀 里子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70313145)
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キーワード | 血液脳関門 / 脳毛細血管内皮細胞 / 周皮細胞 / 密着結合 / アンジオポエチン / Tie2受容体 / アルツハイマー病 / アミロイド蛋白 |
研究概要 |
血液脳関門の最も重要な構造的特徴である密着結合は、脳関門破綻と密接に関わり重要である。脳毛細血管内皮細胞の密着結合蛋白の一種であるoccludinの発現の少なくとも一部は、周皮細胞から分泌されるangiopoietin-1 multimeric complexが内皮細胞膜のTie2のリン酸化によって促進されることが明らかになった。脳毛細血管内皮細胞の血液側膜にABCG2/BCRPが発現機能していることを明らかにした。さらに、この発現は周皮細胞からの分泌因子で影響されず、星状膠細胞によって顕著に誘導されることが明らかになった。脳関門の密着結合と排出輸送機能が内皮細胞だけでなく星状膠細胞や周皮細胞によって誘導されることから、血液脳関門の機能障害にはこれら関連細胞からの活性化機構の低下も重要であることが示唆された。アルツハイマー病は精神疾患で最も重要な一つである。その原因と考えられているアミロイド蛋白が、ラット大脳から血液脳関門を介して半減期50分で排出輸送されることが明らかになった。この排出輸送は飽和性を示し、LRP-1の関与が低いことが示唆された。インスリンでアミロイド蛋白の排出は阻害されたことから、脳内インスリン濃度とアミロイド蓄積との関連は今後の大きな研究課題である。これまでアミロイド蛋白の脳からの消失経路は代謝酵素が主であると考えられており、また、排出輸送機構としたLRP-1の関与が示唆されてきた。本研究成果は、これらの知見と異なることから、アミロイド蛋白輸送の分子機構の解明は新たな重要な研究課題である。
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