1.これまで我々が行ってきた研究を中心に、ビタミンCの強い抗酸化作用および、酸化ストレス指標として有効性に関する総説を依頼された(英文依頼総説)。脂質ヒドロペルオキシド、ビタミンC、ビタミンEを指標として種々の病態において酸化ストレスを評価した結果、ビタミンCが指標として最も鋭敏であることが示された。このように、生体内で起こる複雑なラジカル反応(酸化ストレス)を評価するためには反応論的に重要な物質の特異的・高感度分析法を開発して、正確な測定値に基づいて評価していくことの重要性を指摘した。さらにヒトでの酸化ストレスの評価には、動脈硬化発症との関係で注目されている、低密度リポタンパク質(LDL)の酸化、特にLDLのタンパク部分(アポB)の分解・会合を免疫学的に測定する我々が発見した方法が優れていることを明らかにした。同時にヒトでの調査から、ビタミンC摂取とアポB酸化との間に有意な相関があることも明らかになった。 2.D-ガラクトサミンは劇症肝炎を引き起こすため、人工補助肝臓の開発時によく利用される。劇症肝炎のときには何らかの毒物が血中に存在し、それが、肝性脳症などを引き起こすと考えられている。今回、脂質の毒物として、長鎖セラミドの血漿濃度が上昇することを、LC-MS/MSを用いて明らかにした。 3.ビタミンE欠乏ラットにルイボス茶を与えると、肝臓、腸、肺、等で酸化ストレスが軽減されることが判明した。即ち、ルイボス茶はin vivoで抗酸化活性を持つことが明らかになった。 4.調理過程におけるビタミンC減少機構を解明するため、モデル系として、アミノ酸、金属イオンなどとビタミンCとの反応性を検討した。
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