研究概要 |
本研究では、トラヒック量の変動に基づくネットワーク資源の動的割当による、高速・高品質なネットワークをユーザに提供するための新しい動的資源管理手法に関する研究を遂行している。本年度取り組んだ課題について、1)トラヒック分析結果の動的な資源管理手法への適用例、2)トラヒック要求量を既知としない柔構造インフラストラクチャ構成手法に分けて説明する。 1)では、昨年度に設計を行ったトラヒック特性に基づいた動的なルーティングプロトコルの既存のインターネットへの適用性の検証を行った。エニーキャスト通信とマルチキャスト通信との類似性を元に,その方式の違いから異なる3種類のプロトコルの設計,並びに実装を行った。いずれのプロトコルも実験環境においてトラヒック特性に応じた適切な経路選択がなされることが示された。 2)では、近年のGMPLS標準の進展を考慮し大規模なフォトニックネットワークに適用可能な論理トポロジー設計手法を検討した。複数の波長パスから構成する仮想ファイバの概念を導入し、その概念を利用した論理トポロジー設計手法を提案を行い、その有効性を計算機シミュレーションにより示した。また、障害復旧時にネットワークの各ファイバの利用状況を探査することにより高効率かつ複数障害に対応可能な復旧方式を検討した。さらに、各ノードがトラヒック変動に応じて柔軟に波長パスを設定する代替経路制御手法を新たに提案し、計算機シミュレーションにより有効性を示すとともに、GMPLS標準に基づいた波長パス設定方式を実機に実装し4ノードネットワークからなる実験ネットワーク上において提案代替経路制御手法が有効に動作することを確認した。
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