研究課題/領域番号 |
14208028
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70002102)
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研究分担者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40156716)
福島 智 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50285079)
廣田 光一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (80273332)
井野 秀一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (70250511)
似鳥 寧信 (株)ビー・ユー・ジー総合研究所, 開発本部長(研究職)
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キーワード | バリアフリー / ノンバーバル情報 / 聴覚障害者 / 音声認識 / タクタルエイド / 表情 / 復唱 / 字幕 |
研究概要 |
本年度は最終年度であることから、前年度までの成果を評価するとともに、得られた知見や技術を人間や社会に還元させる方法を提案した。具体的には、得られた成果と提案は以下の3点である。 (1)遠隔型音声字幕システムに関する実験結果から、ノンバーバル情報である話者の「顔」、「口元」を音声字幕に重ねて表示したときの最適なタイミングについて明確にされた。顔情報は威圧感を与えることから必ずしも必要ではないが、口元の動き情報が文の理解を助ける上で大きく貢献し、特に字幕が現れてから数秒後に口元が現れたときが最も理解度が高まることを見出した。その結果を踏まえて、国際学会等を通じて約30回にわたり試験運用し、聴覚障害者の支援や国際会議等での通訳システムとして、ビジネスモデルを構築するとともに産業化する道筋を作ることができた。 (2)昨年度は、ウェブ文章におけるテキストを音声で任意の話速で提示し、字体や文字色などのリッチテキストを指先に提示する触覚ジョグダイアルを提案したが、今年度は従来のスクリーンリーダに「話速変換機能」と「触覚ディスプレイ」を一体化したインタフェースを試作し、実用化を想定してデザイン開発とユーザビリティ評価を行った。触覚ジョグダイアルをペン型、グリップ型、およびマウス型の3型を作り、ユーザビリティの観点から評価した結果からペン型を採用することとした。その実用化装置(製品名:タジョダ)を開発し、ビジネスモデルに基づいて広く普及させる道を拓いた。 (3)基礎的知見としては、コミュニケーション支援におけるノンバーバル情報おいて「顔情報と文字情報」および「音声情報と触覚情報上を同時に与えるときの最適な提示方去が示されるとともに、複数情報の脳内における「情報の流れ」について仮説を立てた。 なお、これらの知見や技術は拙著「福祉工学の挑戦-身体機能を支援する科学とビジネス-」(中公新書,2004年12月)に纏め、広く啓蒙することができた。
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