研究概要 |
研究第1年度の本年度は,単塩基多型と医薬品化学構造からの高次元データマイニングを実施するための計画立案と,必要なソフトウェア機能の確認および環境整備を行うとともに,実際にクリニカルデータの蓄積を開始した.以下に、本年度遂行した研究の内容を項目に分けて示す。 1.予算規模や研究成果の重要性に鑑みて,医薬品の副作用発現において重要な段階である薬品の代謝プロセスを対象として,単塩基多型と医薬品化学構造の関連研究を推進する方針を策定した.そのためにまず多数の代謝酵素P450毎に,それが代謝対象とする化合物構造の特徴を把握すること,およびこれらの酵素に単塩基多型が存在した場合に影響の現れる薬品の投与効果データを臨床面から収集することとした. 2.マイニングに使用するカスケードモデルについて,その薬品化学構造と生理活性間の相関関係のマイニングに有効であるか否かを調査するため,予備的にドーパミンのアンタゴニスト活性を有する1300種余りの開発薬品を選択し、これらの構造とD1-D4の4種の受容体に対する活性間の相関関係の解析を遂行した.その結果、各活性に特徴的でかつ合理的な部分構造を発見することができた. 3.上記過程で各種作業を効率化する必要が判明したため,データベース検索から出力ルールの解析に至るまで、多数のソフトウェア群を効率的に実行するための環境を開発した。 4.投与薬品とその効果および一般的な検査結果,さらには保存する血液サンプルを効率的に保存するためのデータベースを設計した.さらに,老人病院の多数の患者を対象に,実際にクリニカルデータの試験的な蓄積を行った.
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