研究概要 |
研究第2年度の本年度は,実際に診療データを収集するとともに,マイニングシステムの構築,および収集したデータからの薬効評価のマイニングを行った.以下に,本年度遂行した研究の内容を項目に分けて示す. 1.老人病院の受診者125人について,疾病,生活習慣,血液を始めとする各種検査データ,投与薬品およびその効果をデータベース化し,さらに次年度以降に単塩基多型情報を得るために血液サンプルを採集保存した. 2.医薬品化学構造と生理活性の相関を調べるマイニングにおいて,薬学者の理解を容易とする属性を開発するため,化学構造からの線形フラグメント生成法を改良し,水素結合記述の導入,芳香環原子の識別表記,フラグメント構造中間表記の省略,カルボニルの統合原子記述等の機能を導入した. 3.カスケードモデルによるマイニングで多属性を利用可能とするために,属性間の相関に基づく属性選択機能を導入し,全体で2000種程度の属性から,500-660種程度の属性を選択してマイニングを実行できるようにした. 4.上記2,3の機能を検証するため,ドーパミン受容体タンパク質に対してアンタゴニスト活性を有する化合物群の解析を行い,各活性に対して特徴的な部分構造を抽出することができた. 5.第1項で収集したデータを対象としてマイニングを行った結果,4種の薬剤対でそれらの間の想互作用のために,一方の薬剤の効果が低下することを明らかにした.また,その原因が,特定の薬剤が特定のチトクロームP450代謝酵素に対して,酵素誘導を起こしているためであることを確認した.
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