研究概要 |
コンサートや演劇などの大規模な空間で行われるダイナミックなイベントを対象とし,1)イベントを的碓に記録した多視点の映像を獲得するために多数のカメラを駆使して知的撮影を行う方法,2)多視点映像を加工して視点の3次元位置プラス時間軸の4次元の自由度を持つ映像空間を生成する方法,3)利用者の要求に応じて映像空調を編集し自由視点映像として配信する方法,の研究を行った。 本研究は,既存の映像メディアが頻繁に撮影対象とする,スポーツ,コンサート,演劇など,比較的大規模な空間で行われるイベントについて,視点の選択権を利用者に許す映像メディアの実現の可能性を実証した点に特色がある。 実験室などの2〜3m四方の空間を対象とする場合と異なり,数十〜100m以上の空間では,多視点映像の撮影・蓄積,自由視点映像の生成などにおいて全く新しい発想の技術開発が必要となる。我々のグループでは,数年前から現実の大規模空間を対象とした多視点映像撮影と自由視点映像生成の研究に取り組んでおり,広大な空間における多視点映像の撮影システム,カメラのキャリブレーション手法,大規模空間を前提とした自由視点映像生成手法など,多くの技術的な蓄積を得てきた。 本研究では,これまでの技術的蓄積をベースに,1)大規模空間中で注目すべき事象に適切に撮影資源を配分する知的撮影手法,2)前景と背景のように特性の異なる被写体に応じて適切な撮影装置を配置して獲得した不均一な映像データを4次元映像空間として構成する手法,3)大規模空間の中で大きく移動する利用者の視点に追従して効率的に自由視点映像の生成と通信を行う手法,など,大規模空間を対象とした場合に初めて顕在化する重要な問題を取り上げて,その解決法を示した。 現時点においても実際に大規模空間を対象として自由視点映像の研究を進めているのは,世界的にみても我々のグループだけであり,他の追従を許さない独創的な研究実績であるといえる。
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