研究概要 |
本年度は,前年度までの研究により構築した眼球注視インタフェースのプロトタイプのユーザビリティのうち,特にエラーに関係する部分について評価した.さらに,市販のカメラからの画像データに対する眼球トラッキングのアルゴリズムをインプリメントし,低価格型眼球注視インタフェースのプロトタイプを構築した.本年度の一連の研究から,具体的には以下にまとめる2点の成果を得た. (1)眼球注視インタフェースのエラー特性の解明 眼球注視インタフェースを対象として,使用を開始した直後から,習熟に至る過程で発生するエラーの特性を明らかにするため,学生8名を被験者として用いた実験を実施した.ここでは,得られた結果に基づき,眼球注視インタフェースの使用を阻害する大きな要因となるエラーの低減に向けた示唆を得るとともに,インタフェースの改良,ならびにユーザに対する教育・インストラクション方法の構築に関する示唆を得た. (2)効率的な眼球トラッキングアルゴリズムの適用による低価格インタフェースのプロトタイプの開発 前年度より開発をしている,効率的な眼球トラッキングのアルゴリズムをさらに改良し,安価な市販のカメラによる低価格型眼球注視インタフェースのプロトタイプを構築した.ここで開発した低価格型眼球注視インタフェースの入力精度,ならびにユーザビリティを評価するため,既存の注視インタフェースとの比較検討実験(被験者15名)を実施した.この実験により,眼球注視インタフェース設計に当たっての重要な設計要因である,眼球運動検出の精度および画面設計方式によるユーザのパフォーマンスならびに主観的満足度に与える影響を明らかにするとともに,インタフェースの改良によるユーザビリティ向上に向けた具体的示唆を得た.
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