研究概要 |
本年度は,昨年度に実施した静的載荷実験を踏まえ,これを数値解析できる構造解析手法の研究を実施した.まず,非補強組積構造(壁構造)と本研究で提案する新しい簡便かつ経済的な耐震補強工法(安価なポリエチレン製の荷造りひもで作成したメッシュで壁を挟み込む方法)を施した補強積組積造(壁構造)の静的載荷実験と,実験に用いたブロックやモルタル,補強材(ポリエチレン製の荷造りひも:PPバンド)の材料特性に関する実験結果から,数値解析に用いるパラメータの整備を行った.次にこれらのデータを基に,応用要素法(AEM)を組積造構造物の破壊解析法として用いるために必要な改良を手がけた. 後者について具体的な説明をすると,レンガやブロックなどの挙動をAEMで取り扱うために必要な材料モデルや破壊基準などに関して詳細な検討を行い,まず無補強組積造壁構造の破壊実験を対象として,AEMの適用性を吟味し,十分高い精度で破壊挙動を追跡できることを証明した.次に,本研究で補強材として用いるPPバンドのメッシュの効果を解析に取り込むための新しいアイデアを提案し,これを無補強組積造構造物解析プログラムに組み込む方法について検討した.そして提案した数値解析法によって,昨年度に行った破壊実験の結果が高精度に再現できることを確認した上で,各種の材料特性や境界条件が組積造構造物の破壊挙動にどのような影響を与えるのかを,それぞれの材料パラメータや境界条件を変化させた数値シミュレーションによって確認した.
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