研究概要 |
1.流体不安定性の抑制 昨年度までに流体不安定性を抑制する新しい方法として,二重アブレーションとカクテル・カラー照射を提案し,いずれの方法も不安定抑制法として非常に有効であることを検証してきた.二重アブレーションについては米国物理学会での招待講演,Physical Review LettersやPhysics of Plasmas等の主要な論文誌に掲載された.本年度はカクテル・カラー照射について論文化を行い,Physics of Plasmas誌に投稿した. 2.高速加速の予備研究 この科研の研究グループの一員からレーザー核融合の新しい点火方式である「衝撃点火」方式が提案された.これはあらかじめ爆縮しておいた燃料に,高速に加速した別の燃料を衝突させ,その衝撃により点火温度への加熱を行うものである.本年度はまず衝撃点火の概念をNucler Fusion誌等に発表した.この方式の正否は秒速1000kmへ加速することが可能であるかどうかにかかっており,従来は流体不安定性のためそこまで燃料が破断してしまうと考えられていた.しかし本科研の昨年までの成果により,この不安定性を抑制する方策を考案したので,それが高速加速に有効であるかどうかの予備研究を行い,世界最高速度である650km/sの速度を実現した.しかしターゲット密度は初期密度の1/10にまで低下している問題を解決する必要がある.
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