研究概要 |
1.新型ガスタービンサイクルと原子炉への適用 超臨界CO_2ガスタービンサイクルは、臨界点近傍での圧縮仕事の低減効果により、Heガスタービンサイクルと比較して、サイクル熱効率が4%〜11%高くなる。ガスタービン発電の採用により,従来の蒸気タービンと比較して,プラントは大幅に簡素・コンパクト化が図れる。CO_2ガスタービン発電を導入すると,従来のHeサイクルでの高温(850℃)の効率が中温(650℃)で達成され,材料に高耐熱合金の代わりに316ステンレス鋼で済み材料的にコスト低減が図れる。CO_2ガスタービン発電を高速炉に導入すると,従来のNa冷却型炉の安全性,経済性,保守上の課題を排除することができる。 2.超臨界CO_2サイクル試験ループによるヒートリック社製PCHEの伝熱流動特性評価 超臨界CO_2サイクル試験ループを用いて、ジグザグな流路を持つHEATRIC社(英国)製PCHE(Printed Circuit Heat Exchanger)の伝熱流動試験を行った。試験は、CO_2高温ガス炉サイクルの低温高圧側(108℃、6.5〜10.5MPa)と高温低圧側(280℃、2.2〜3.0MPa)を模擬した条件で実施した。試験結果からPCHE型再生熱交換器の総括伝熱係数と圧力損失係数を評価し、レイノルズ数をパラメーターとする実験式を得た。 3.新型PCHEの開発 FLUENTコードを用いた三次元流体解析により、HEATRIC社製PCHEの高い圧力損失はジグザグ流路では曲がり部下流で渦の形成によることを解明した。さらに、不連続なS字型フィンをオフセットに配置する流路構造にすることで渦は形成されず、同じ伝熱性能で、圧力損失は1/5に低減出来るという画期的な性能改善の見通しが得られた。この予測結果について、超臨界CO_2サイクル試験ループを用いた模擬試験による検証を開始した。
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