研究課題/領域番号 |
14208068
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 賢志 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80124577)
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研究分担者 |
小林 純也 京都大学, 放射線生物研究センター, 助手 (30301302)
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キーワード | ゲノム不安定性 / ナイミーヘン症候群 / 毛細血管拡張性運動失調症 / ATM / MRE11 / NBS1 / 相同組換え修復 / チェックポイント |
研究概要 |
DNA損傷後のチェックポイント制御や修復に関わる蛋白の欠損がDNA損傷後のゲノム不安定性を誘発することが知られている。特に、両者の異常を呈するヒト疾患のA-T(A tacia telangiectasia)細胞、ATLD(A-T like disorder)細胞やNBS(Nijmegen Brreakage Syndrome)細胞ではゲノム不安定性が極めて大きく、電離放射線高感受性やS期チェックポイント異常など共通の性質を示す。これらの細胞で変異を起こしている蛋白、ATM、MRE11、NBS1は放射線照射後にNBS1蛋白C末側を介して細胞内で結合することが報告されている。本研究ではゲノム安定化に寄与する蛋白の機能を解析するために、MRE11およびATM結合領域を含むNBS1変異体を用いて相同組換え修復やチェックポイントにおける役割を解析した。この結果、MRE11結合領域は修復に必須であるが、ATM結合領域は必要ないことが明らかになった。これに一致して、ATMが欠損したA-T細胞でも修復が正常に進行することが示された。一方、A-T細胞をはじめ、ATLD細胞やNBS細胞ではチェックポイント異常がみられることから、ATM、MRE11、NBS1が必要である。細胞の免疫染色実験によりNBS1を介したMRE11の損傷部位への集結が修復反応活性と一致することから、損傷の初期反応に於いてMRE11がATMの上位にある事が示された。また、NBS1はATMとMRE11を損傷部位にリクルートする機能で、修復とチェックポイントのクロスロードとしての機能が明らかになった。
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