研究分担者 |
須賀田 直子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (30344071)
高井 裕子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (90332270)
森山 賢治 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00250217)
釣本 敏樹 九州大学, 理学部・生物学科, 教授 (30163885)
白形 正樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70251551)
玉井 克之 株式会社サイクレックス, 代表取締役
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研究概要 |
潜伏感染期のEpstein-BarrウィルスのゲノムDNAはウィルス由来のタンパク質EBNA-1の存在下で1細胞周期あたり1回複製され、その複製開始や進行は宿主由来の因子に依存する。oriP領域はその複製起点の一つであり、この領域をもつプラスミドDNAはEBNA-1発現ヒト細胞内で安定に複製、維持される。我々は、哺乳動物の複製起点が未だ十分解明されていない現時点で、oriPプラスミドはヒトのゲノムDNA複製の開始制御機構を分子レベルで解明できるモデルレプリコンであると考え、in vitroでのDNA複製反応系の構築を目指している。我々は、まず細胞に導入したoriPの複製能獲得時期や、複製開始・完了時期を特定し、分画したエピソーム画分にpreRC構成タンパク質が含まれることを明らかにした。さらに、このエピソームDNA/タンパク質複合体のサイズが細胞周期に応じて特異的に変動することや、複製したoriPの一部が核マトリクスに強固に結合していること、また、oriPプラスミド複製は、Cdc7キナーゼの機能に依存することを見いだした。 これらの細胞レベルでの解析と並行して、in vitroでoriPプラスミド上にヒトのpreRC(prereplicative complex;前複製複合体)を構築する実験系の開発を進めている。この目的のために、まず、1)クロマチン構造をとった鋳型プラスミド(ミニ染色体)を多量に得るため、oriPの他にSV40の複製起点を組み込み、トランスフェクション効率が高く増殖の盛んなSV40-T抗原発現細胞で多コピーに増幅させる工夫をした。次に、導入された自律複製プラスミドを環状ミニ染色体として簡便に単離するために、2)プラスミドにtet operator配列を複数導入し、その特異的吸着および回収のために組換え体tet repressorを固定化したアフィニティー担体を利用することを試みた。これにより、細胞抽出液からoriPプラスミド染色体を簡便且つ選択的に単離することが可能になった。続いて、3)EBNA1存在下で単離されたクロマチンDNA上に、ORC, MCMなどのpreRC構成因子が存在するか、またそれは細胞周期により変動するかを解析する。さらに、4)単離したクロマチン鋳型上において、in vitroにおけるpreRCの形成を検討するために、精製したEBNA1, 0RC, Cdc6, Cdt1, MCMタンパク質による複合体形成の解析を行なう。現在までに、ENA1, Cdt1, MCMタンパク質はすでに、組み換え体を発現し精製した。現在、Cdc6およびORC複合体の発現系の構築ならびに精製を行ない、ほぼ精製できる見通しがたった。
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