研究課題/領域番号 |
14208089
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井出 宏之 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70022704)
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研究分担者 |
松田 大樹 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 日本学術振興会特別研究員 (60801363)
田村 宏治 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70261550)
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キーワード | 四肢 / 再生 / FGF-10 / 分岐 / 分節 |
研究概要 |
ツメガエルの四肢は、完全な再生能を持つ有尾両生類の四肢と、再生能が殆んど無い哺乳類の四肢を結ぶという意味で重要な位置にある。ツメガエル幼生(発生段階51)の四肢は切断しても完全に再生するが、発生段階56の幼生四肢では切断後、殆んど再生しない。さらに変態が進み小さな成蛙になると、四肢の切断部には棒状の軟骨であるスパイクが形成される。 このような四肢形成能の変化を、再生芽が先端方向に伸びる機構(1)と、再生芽が前後軸方向に分岐、先端方向に分節してゆく機構(2)に分けて解析した。 前者は繊維芽細胞成長因子の一つFGF-10によって支配されている。発生段階56前後の四肢では、切断部でfgf-10の発現が消失し、その結果、先端方向への伸長が抑えられる。ところがさらに変態が進み、小さな成蛙になると、fgf-10の発現が再び起こるようになる。 ところが、前後軸方向を決めているSonic hedgehog(shh)などのシグナル分子の遺伝子発現は、変態時にfgf-10の発現より少し遅れて減少する。 従って、(1)(2)の機構が存在している発生段階51の四肢では、完全な再生が起こるのに対し、(1)が減少した発生段階56の四肢では伸長が抑えられ、スパイクさえも形成されない。しかし(2)の機構は残っているので、外からFGF-10を加えれば分岐、分節を持った四肢が形成される。さらに小さな成蛙になると、(1)は再び形成されるが、(2)が完全に抑制されるために分岐分節の無いスパイクが形成される。 このスパイクになる再生芽にシグナル分子shhやWnt-7Aを加えればパターンを持った四肢を作ることができると考えられる。
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