イモリ、サンショウウオ等の有尾両性類の四肢は、切断後、完全に再生し、元の形に戻る。しかし哺乳類や鳥類では四肢の再生はほとんど見られない。この中間段階にある無尾両生類では、幼生の段階では四肢の再生が見られるが、変態過程で再生能は急速に低下する。カエルになると再生能がなくなるが、一部のカエルでは切断後、四肢の代わりに、スパイクと呼ばれる棒状の軟骨が形成される。この構造には分岐、分節が全く見られない。また筋肉組織も無い。ツメガエルを用いて、このスパイクをパターンを持った骨組織に変え、筋肉を分布させることが本研究の目標である。 細胞成長因子のひとつ、骨形成タンパク(BMP)をビーズに染み込ませて切断部へ添加する事によって、軟骨の分節を誘導できた。 またスパイクに筋肉組織が入らないのは、前駆体細胞を誘引する因子が欠如しているためであることがわかった。 スパイクを分岐させることにはまだ成功していないが、切断部での細胞増殖、軟骨への分化が可能になったマウスの四肢を再生させる基盤が形成されたといえる。またマウス新生仔の四肢を前腕部で切断すると、切断部にMsx陽牲の細胞が出現し、再生芽と考えられた。
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