研究概要 |
本研究では、体幹部の中胚葉組織の発生異常を示すメダカ変異体、tacobo, toguro, headfish(旧tail-less)について、表現型の解析、原因遺伝子の同定を行った。 1.tacobo:さらに詳細な表現型の解析の結果、(1)convergent-extention異常、(2)神経管内の細胞の極性異常、(3)ひれのAER欠損、(4)心臓弁の形成異常、(5)網膜細胞の増殖低下と層構造の乱れなどの複合的な表現型を示すことが判明した。(1)、(2)、(5)はWntのPCP経路そして、(3)から(5)はWntのcanonical経路に関与していると考えれる。従って、この変異はWntの2つの経路に共通する遺伝子に異常がある可能性が高い。すでに、chromosomal walkingで1.5cMまで近づいているが、2つのwnt経路に関与する遺伝子(dshなど)のマッピングを優先して進めている。 2.toguro:高温において骨形成異常を示す、温度感受性変異体である。すでに、変異体領域をBACクローン3つまでに絞込み、これらのBACクローンの全塩基配列を決定済みである。この領域には10個程度の遺伝子が存在し、現在アンチセンス法などで絞り込みを急いでる。 3.headfish:発生の初期に尾芽形成異常を起こし、体幹部を欠損する変異体である。完全なpositional cloningの結果、この変異体の原因遺伝子はFGF receptor 1であることが判明した。この変異体ではヘパリン結合領域の保存されているアミノ酸一つが置換していた。 以上の様に、変異体から原因遺伝子を同定する技術的基盤が整い、短時間の間に原因遺伝子の同定が可能になりつつある。
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